1『退屈な読書』(朝日新聞社)
あとがき『いざとなりゃ本ぐらい読むわよ』に続く、本の事件簿第二弾である。この本に収められたコラムを書いていた九六年から九八年にかけて、わたしは九年ぶりの長編を書き上げたかと思うと、月刊の純文芸誌に長…
あとがき『いざとなりゃ本ぐらい読むわよ』に続く、本の事件簿第二弾である。この本に収められたコラムを書いていた九六年から九八年にかけて、わたしは九年ぶりの長編を書き上げたかと思うと、月刊の純文芸誌に長…
文字が降る幻想的な世界文字が降ってくる町に住んでいる夫婦からの書簡が小説を構成している。え? 文字が降ってくるって? と読者は思われるだろう。そんな疑問などどこ吹く風。小説の中で、そして小説の中の手紙…
たまげた。九月に発売された文芸誌「文學界」「新潮」「群像」の十月号が軒並み好調な売れ行きを示したんだそうな。朝日新聞十月六日夕刊に掲載された記事によれば、〈文芸誌の発行部数は約1万部。少部数ではあるが…
『梁塵秘抄』――この素敵な本は、題で随分ソンをしているように思う。たまに持って歩いていると、若い友人たちから不思議そうな目で見られる。「わっ、さすが、モト古典の先生!」「なにそれ、宗教関係の本?」もの…
外部を招き入れて理解を実現著者の名前を見ただけで難しかろうと敬遠するのが無難とわかっていながら今回はあえて取り上げる。「天然知能」という言葉で、私が生きものの感覚として大事にしていることを論理的に考…
ワインと阿片茶最近、中国でまた阿片が復活してすごいみたいだ。事実、僕の知っている中国人青年も、やってるよ、とこともなげに答えた。僕は吸ったことはないのだけれど、じつはワインと阿片ののみかたの極意は共…
戦時下の人々描く八つの短編スピルバーグ監督の映画「ターミナル」(2004年)は、空港から出られない男を描いたコメディだった。飛行機に乗っている間に母国でクーデターが起きて、パスポートが無効になってしまっ…
毎朝の通勤中、便意に襲われることはないでしょうか。途中下車をして駅のトイレに駆け込んでも、長蛇の列で地獄。かといって遅刻しないために、会社や学校まで我慢し続けるのも、限界とのはざまでギリギリの闘いを…
人間の生き方を考え問うAI(人工知能)の解説書を読んでも全体像は見えず、期待と不安がないまぜの落ち着かない気分になるばかりだった。本書で納得したとまでは行かないが、考える方向が見えてきたような気がする…
今、便利さや安全性、生産性、省資源などを向上させるため、旧来のやり方を変えるよう促す取り組みが、職場や学校、地域などあらゆるところで行われています。とはいえ、それを取り入れるかどうかは個人や個別の組…