書評

『世界哲学史1』(筑摩書房)

  • 2020/03/09
世界哲学史1 /
世界哲学史1
  • 編集:伊藤 邦武,山内 志朗,中島 隆博,納富 信留
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:新書(314ページ)
  • 発売日:2020-01-07
  • ISBN-10:4480072918
  • ISBN-13:978-4480072917
内容紹介:
人類は文明の始まりに世界と魂をどう考えたか。古代オリエントからギリシア、中国、インドまで、世界哲学の起源を探究する。

新書で読む東西の哲学の地平

最近、新書が熱い。『世界哲学史』全8巻、一昔前なら岩波講座の出番ではなかったか。ここでいう「世界」とは西洋から拡大した地理的領域にとどまらない。哲学は私たちが生きる場を世界と呼び、地球から宇宙へ、現在から過去や未来へと対象を広げる。哲学は普遍性と合理性を旨とするがこの二つの概念はギリシアが生み出した。世界哲学への挑戦は改めて哲学とは何かを問うことになる。本書は文明の始まりからヘレニズム期の紀元前2世紀まで、東西の先哲が世界や魂をどのように考えたかを概観する。紀元前6~5世紀ごろ、彼らの関心は世界から自己・魂へと向かう。それはなぜか。一般に流布したソクラテスの「無知の知」は誤りで「不知の自覚」と訂正される。終章はアレクサンドロス東征によるギリシアとインドの出会い。通読してワクワクした。全8巻が出そろった時、哲学の地平はどのような展望を示すのだろうか。
世界哲学史1 /
世界哲学史1
  • 編集:伊藤 邦武,山内 志朗,中島 隆博,納富 信留
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:新書(314ページ)
  • 発売日:2020-01-07
  • ISBN-10:4480072918
  • ISBN-13:978-4480072917
内容紹介:
人類は文明の始まりに世界と魂をどう考えたか。古代オリエントからギリシア、中国、インドまで、世界哲学の起源を探究する。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2020年2月8日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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