書評
『清水アリカ全集』(河出書房新社)
「圧縮」した高密度の小説世界
清水アリカという作家がいた。4冊の単行本を残し、去年の9月に亡くなった。病気のこともあって、清水はこの数年、小説を発表していなかった。私は清水の小説を待っていた。デビュー作の『革命のためのサウンドトラック』や最後の単行本『チャーリーと水中眼鏡』は大好きな小説だった。
清水にとって21世紀の文学の状況は生きにくいものだったろう。だが文学の状況など、たぶん清水アリカという作家には関係ない。彼は自分の考える文学をひたすら追求した。この、たった一巻しかない全集を読むとそのことがよくわかる。
4つの単行本をはじめ、雑誌に発表された単行本未収録の小説、創作ノートなど、彼の作家としての活動の全体を収めている。
キーワードは「圧縮」だ。清水アリカは自分の小説世界をどんどん圧縮していった。高密度の文学世界を構想した。このことは、薄められ拡散することが多い、どうにも弛緩した現今の小説と相容(い)れない。
実に愛すべき小説を、清水は残した。誰にも似ていない作風を、できれば、小説を書く若い人に味わってほしい。
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