1『レス』(早川書房)
作家が作家を描く毒気と面白み爆笑と落涙、哀しみとすがしさ。「ピュリッツァー賞を喜劇的な小説が受賞するのは数年ぶり」の快挙とのこと。確かにこのところ、現在の危機的な世相を反映して、米国の起源を問い、戦…

作家が作家を描く毒気と面白み爆笑と落涙、哀しみとすがしさ。「ピュリッツァー賞を喜劇的な小説が受賞するのは数年ぶり」の快挙とのこと。確かにこのところ、現在の危機的な世相を反映して、米国の起源を問い、戦…
まだ、学問や芸術が専門化し、細分化していなかった頃、すべてはマニュアルの問題だった。マニュアルは徒弟制度を通じて、踏襲されたが、工房からは稀にレオナルドのような天才が現われた。天才は自分を高く売るた…
マルクス・アウレリウスという人がいた。西暦2世紀にローマで生まれ、時の皇帝であるハドリアヌスに、少年時代からその利発さを褒められたという人物である。この人、およそ宮廷の権謀術策になど関心をもたず、いつ…
体の奥まで、世界の果てまでの旅世界を席捲したパンデミックのせいで、「禍」という字はすっかり馴染みのものとなり、「か」と打つと手元のパソコンでは勝手に変換されてしまうくらいだ。もちろん、本書のタイトル…
毎朝の通勤中、便意に襲われることはないでしょうか。途中下車をして駅のトイレに駆け込んでも、長蛇の列で地獄。かといって遅刻しないために、会社や学校まで我慢し続けるのも、限界とのはざまでギリギリの闘いを…
人間の心の闇を垣間見る最近、殺すのは「誰でもよかった」などという、わけの分からない殺戮事件が頻発して世間を震撼せしめている。いっぽうで、兄が妹を殺して死体を切り刻んだ、などという猟奇事件が、これまた…
八十三歳の「新人」耕治人(こうはると)が亡くなる直前「ブレイク」してからもう十年が過ぎた。生涯きわめて地味な私小説作家だった彼は、最晩年、自身の病と惚けた老妻の世話に呻吟しながら驚くほど美しい小説を…
神のもとのポルノ小説卑下、という言葉について考える。中国語では自卑(ツーペイ)、英語では belittle、と書く。自らを軽蔑し、卑しめ、鞭打ち、傷つけ、自分はいつも間違っていると考え、他に服従する。キリス…
歴史知識と現状判断、大胆に融合黒田日銀の「異次元の金融緩和」は、見事なまでの空砲、空論に終わった。主唱者たちは「家計が消費に企業が投資にお金を使わないのはデフレのせい」と強弁、消費と投資を回復させる…
昔は新書といえば、硬めの内容の本が多かったものだけど、“新書ブーム”の今、その事情がちょっと変わってきています(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2002年)。身近なテーマをわかりやすい言葉で解説した本…