『江戸の宇宙論』(集英社)
磯田 道史
知られざる「天才」たちの活躍を通して、江戸の科学史の側面を描いた画期的一冊!
今日ではノーベル物理学賞を獲得する水準に至った日本の天文学研究。
そのルーツを辿ると、江戸時代後期の「天才たち」の功績にまで遡る。
「重力」「遠心力」「真空」など現在でも残る数多の用語を生み出した翻訳の達人・志筑忠雄。
「無限の広がりを持つ宇宙」の姿を想像し、宇宙人の存在さえ予言した豪商の番頭・山片蟠桃。
そして超一流の絵師でありながら天文学にも熱中し、人々に地動説などを紹介した司馬江漢。
彼らはそれぞれ長崎通詞(オランダ語の通訳者)・豪商の番頭・画家という本業を持ちつつ、好奇心の赴くままに宇宙に思いを馳せたのであった。
本書は現代日本を代表する宇宙物理学者が、江戸時代後期を生きた知られざる天才たちとその周辺人物らによる破天荒な活躍を負いつつ、日本の天文学のルーツに迫った驚きの科学史である。
【目次】
はじめに
第一章 蘭学の時代
第二章 長崎通詞の宇宙
2─1 志筑忠雄という人
2─2 『暦象新書』と無限宇宙論
第三章 金貸し番頭の宇宙
3─1 山片蟠桃という人
3─2 大宇宙論の展開
終 章 「歴史の妙」
補 論 日本と世界の認識
補論─1 志筑忠雄の『鎖国論』をめぐって
補論─2 山片蟠桃の世界認識
あとがき
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