書評
『公園』(河出書房新社)
小説への心意気感じる作品
今年の文藝賞受賞作。著者も言うとおり、公園は不思議な場所だ。人々はいちおう一つの場に集結しているのだが、皆やっていることが違う。生活水準も服装もバラバラだ。でも、小説は公園の不可解さにこだわるわけではない。主人公はほとんど無目的に動き回る。伊豆に、ニューヨークに、だらだらと移動するけれど、彼の姿はあたかも、公園で日向(ひなた)ぼっこする人のようだ。そこに明確な志向性はない。つまり、どこに行っても、歩き回っても、そこは「公園」というわけだ。
もちろんそんな理の勝った解釈で出来ている小説ではない。ヤクザになぜか同行したり、ニューヨークに旅行してやっとわかったことは、チベットに行きたいということだったり、など。
一つひとつのエピソードにはどこか軽妙なユーモアが漂う。それはこの作者の才気ではなくて、小説を書くうえでの決意とか、覚悟とか、そんな基本的な構えにかかわっているような気がする。
つまり、勢いに任せて小説を書いているようでいて、結構したたかに小説をコントロールしようとする意思が感じられるということだ。心意気や、よし。
ALL REVIEWSをフォローする
























