書評

『ピアノ・ソロ』(集英社)

  • 2026/07/14
ピアノ・ソロ / ジャン・エシュノーズ
ピアノ・ソロ
  • 著者:ジャン・エシュノーズ
  • 翻訳:谷 昌親
  • 出版社:集英社
  • 装丁:単行本(192ページ)
  • 発売日:2006-10-20
  • ISBN-10:408773451X
  • ISBN-13:978-4087734515
内容紹介:
理想の女性を追う男が遍歴する来世と現世。
ピアニストのマックスには生涯追い求める女性がいたが、強盗に刺され絶命。だが死んだはずの彼は現世のパリ「地獄」に彼女を追うことになる。出会った二人に、今度は決定的な別れが待っていた。

緻密な構築で独特の世界

エシュノーズの小説を心待ちにしている読者は、決して数多いとは思えないけれど、緻密(ちみつ)に構築された彼の小説世界は、とても魅力的だ。フランスでは三年前に出版されていた本書も、彼独特の世界を存分に堪能させてくれる。

主人公のマックスはピアニスト。だが、コンサートの前は極度の精神不安定になり、アルコールに依存し、演奏中の彼とはまったく違う醜態ばかり演じている。

そんな彼がコンサートの後、暴漢に襲われ、死んでしまう。三部構成の第二部は、死後の世界の記述。そして第三部は、マックスの持っていたはずの社会的属性(名前、住所、職業など)をすべて奪われたところから、再スタートしている。

特に第一部の、演奏は抜群だが、ある意味でだらしないピアニスト、マックスが印象的。訳者がエシュノーズ本人に確認したらしいが、この人物造型の背後には、あの粋なピアニスト、サンソン・フランソワもいるらしい。なるほど。

とにかく、細部が凝っている素晴らしい小説。そして、訳者のしなやかな日本語もエシュノーズの文体に見事にマッチしている。名訳は谷昌親氏による。
ピアノ・ソロ / ジャン・エシュノーズ
ピアノ・ソロ
  • 著者:ジャン・エシュノーズ
  • 翻訳:谷 昌親
  • 出版社:集英社
  • 装丁:単行本(192ページ)
  • 発売日:2006-10-20
  • ISBN-10:408773451X
  • ISBN-13:978-4087734515
内容紹介:
理想の女性を追う男が遍歴する来世と現世。
ピアニストのマックスには生涯追い求める女性がいたが、強盗に刺され絶命。だが死んだはずの彼は現世のパリ「地獄」に彼女を追うことになる。出会った二人に、今度は決定的な別れが待っていた。

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2006年11月15日

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