書評

『カミュ『よそもの』きみの友だち』(みすず書房)

  • 2026/07/02
カミュ『よそもの』きみの友だち / 野崎 歓
カミュ『よそもの』きみの友だち
  • 著者:野崎 歓
  • 出版社:みすず書房
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(154ページ)
  • 発売日:2006-08-05
  • ISBN-10:4622083213
  • ISBN-13:978-4622083214
内容紹介:
きょう、母さんが死んだ-この出来事から、寡黙な主人公ムルソーの運命は動き始める。アルジェリアの海、太陽、風を愛する青年は、激しく照りつける「太陽のせい」でピストルの引き金をひく。近しくも正体不明な"よそもの"として現われたムルソーとわたしたちの心がふれあったとき、物語の新しい可能性が開かれるのだ。

知的ゲームのような展開

アルベール・カミュの『異邦人』は二十世紀を代表するフランス小説。日本でも窪田啓作訳で親しまれてきた。「きょう、ママンが死んだ」で始まる不条理文学の金字塔だが、決して難解なわけではない。フランス語もむずかしくはない。頑張れば大学で一年フランス語を勉強したくらいの学力でなんとか最後まで読み通せると思う。たぶん。

でも、いろんな事情があって難解で接近しがたい感じがあった。それを乗り越えたい。トゥーサンやウエルベックの翻訳で知られる野崎歓さんも、たぶん同じ感想を持っていたはずだ。だから、野崎さんは『異邦人』を「よそもの」と訳してみた。身近な存在としてムルソーを理解するというよりも、ごく普通にそこにいる理解しがたい他者として、ムルソーを捉(とら)えようとしている。

だからこの本には最初に『よそもの』の抄訳が掲げてあり、その後、その翻訳を下敷きにした野崎さんの授業が始まるという趣向。授業といっても堅苦しい理論を振り回すのではなく、ムルソーという主人公を徹底して「よそもの」として考える知的なゲームのように話は進む。目からウロコが落ちるような話がいっぱいだ。
カミュ『よそもの』きみの友だち / 野崎 歓
カミュ『よそもの』きみの友だち
  • 著者:野崎 歓
  • 出版社:みすず書房
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(154ページ)
  • 発売日:2006-08-05
  • ISBN-10:4622083213
  • ISBN-13:978-4622083214
内容紹介:
きょう、母さんが死んだ-この出来事から、寡黙な主人公ムルソーの運命は動き始める。アルジェリアの海、太陽、風を愛する青年は、激しく照りつける「太陽のせい」でピストルの引き金をひく。近しくも正体不明な"よそもの"として現われたムルソーとわたしたちの心がふれあったとき、物語の新しい可能性が開かれるのだ。

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2006年8月23日

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