書評

『水の匂いがするようだ: 井伏鱒二のほうへ』(集英社)

  • 2024/03/24
水の匂いがするようだ: 井伏鱒二のほうへ / 野崎 歓
水の匂いがするようだ: 井伏鱒二のほうへ
  • 著者:野崎 歓
  • 出版社:集英社
  • 装丁:単行本(288ページ)
  • 発売日:2018-08-03
  • ISBN-10:4087711498
  • ISBN-13:978-4087711493
内容紹介:
魚を尊ぶひとの芸術 鱒二は修業中です ドクトル・イブセの翻訳教室 架空の日記の謎 こころ悩めば旅にいでよ 戦場のドクトル・イブセ 水のほとりは命のただ中 宝さがしの旅 田園に帰る
気鋭のフランス文学者による井伏鱒二論、と紹介しようとして少し悩む。この本はたしかに井伏鱒二について書いてあるけれど、「論」というよりももう少し柔軟な、誤解を恐れずに言えば、作家へのファンレターに近い。井伏鱒二の小説が大好きな著者は、新しい発見に興奮し、喜び、冗談を言ったりする。井伏を読む野崎歓は、とても楽しそうなのである。

小説と釣りが好きな人は絶対に読んだほうがいいと思うが、私が特に面白かったのは「ドクトル・イブセの翻訳教室」と題された章。井伏が翻訳家として最初の単行本を出したこと、ドリトル先生も翻訳したこと、想像を超えた珍妙な訳語を創出したこと……面白すぎる。

水の匂いがするようだ: 井伏鱒二のほうへ / 野崎 歓
水の匂いがするようだ: 井伏鱒二のほうへ
  • 著者:野崎 歓
  • 出版社:集英社
  • 装丁:単行本(288ページ)
  • 発売日:2018-08-03
  • ISBN-10:4087711498
  • ISBN-13:978-4087711493
内容紹介:
魚を尊ぶひとの芸術 鱒二は修業中です ドクトル・イブセの翻訳教室 架空の日記の謎 こころ悩めば旅にいでよ 戦場のドクトル・イブセ 水のほとりは命のただ中 宝さがしの旅 田園に帰る

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2018年8月23日

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