書評
『残された者たち』(集英社)
ユーモア漂う限界集落の日常
芥川賞作家・小野正嗣が4年前に発表した小説が、いきなり文庫化された。小野がずっと書き継いできた、海沿いの、人の少ない集落の物語の一部を成す。登場人物は少ない。尻野浦小学校の、一風変わった校長先生、杏奈先生、生徒の飛鷹かおる、そしてかおるの父と兄。そこへ、ある日、「ガイコツジン」集落から「エトーくん」がやってくる。
限界集落に住む人々の、寂しい交流の話ではない。人物たちは、ベトナムからやってきていたり、肌の色が違っていたりするのだが、拙いながらコミュニケーションを図る。
小野の描く人物は、小さな声で、少ない言葉を話す人々。彼らのどこかユーモアの漂う日常が、静かな風景の中に写し取られている。
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