書評

『子供たち怒る怒る怒る』(新潮社)

  • 2026/05/16
子供たち怒る怒る怒る / 佐藤 友哉
子供たち怒る怒る怒る
  • 著者:佐藤 友哉
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:文庫(352ページ)
  • 発売日:2008-04-25
  • ISBN-10:4101345511
  • ISBN-13:978-4101345512
内容紹介:
ぼくが転入してきたクラスで行われていた、ゲーム。それは異形の連続殺人者・牛男の次の犯行を予測しあうことだった―。最初は面白半分だった。でも、いつしか、ぼくたちは引き返せない地点まで来てしまったんだ(表題作)。災厄が露にした、きょうだいの秘密(「大洪水の小さな家」)。教室で突如火を噴く、恵子のサブマシンガン(「慾望」)。デッドエンドを突き抜ける、六つの短編。

新しい才能の異彩放つ傑作

傑作である。世間の評価がどうなるのかわからないが、今年の上半期に出版された小説の中で、異彩を放ち、圧倒的な才能を感じさせる。

佐藤は「メフィスト」という雑誌から出てきた。いわゆるライトノヴェル系の作家と思われてきた。だが、この小説は、彼の培ってきた手法やテーマが惜しげもなく使われていて、感銘を受けた。

端的に言って、佐藤友哉の描く子供たちは、内面を欠いた行動原理に則(のっと)っている。あれこれ考えた結果の行動など、ない。高速で動く。だが、それに対してわけ知り顔に「心の闇」なんて言葉を貼ったりしない。明るい憎悪に支配された子供たちは、世界をぶっ壊そうとしている。

短篇集の中で、唸(うな)ったのは「死体と、」という二十頁足らずの掌篇。うまい。それに、小説の底流を流れるテーマである近親相姦(そうかん)もしっかり組み込まれている。

タブーを侵すこと。佐藤の小説には、絶えず触れてはいけないものに触れている感覚がある。顰蹙は買うかもしれない。

だが、本当に新しい作家には、それが勲章である。気になる才能がまたひとり、現れた。このことだけは間違いない。


子供たち怒る怒る怒る / 佐藤 友哉
子供たち怒る怒る怒る
  • 著者:佐藤 友哉
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:文庫(352ページ)
  • 発売日:2008-04-25
  • ISBN-10:4101345511
  • ISBN-13:978-4101345512
内容紹介:
ぼくが転入してきたクラスで行われていた、ゲーム。それは異形の連続殺人者・牛男の次の犯行を予測しあうことだった―。最初は面白半分だった。でも、いつしか、ぼくたちは引き返せない地点まで来てしまったんだ(表題作)。災厄が露にした、きょうだいの秘密(「大洪水の小さな家」)。教室で突如火を噴く、恵子のサブマシンガン(「慾望」)。デッドエンドを突き抜ける、六つの短編。

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2005年6月30日

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