書評

『生きているのはひまつぶし 深沢七郎未発表作品集』(光文社)

  • 2026/05/23
生きているのはひまつぶし 深沢七郎未発表作品集 / 深沢 七郎
生きているのはひまつぶし 深沢七郎未発表作品集
  • 著者:深沢 七郎
  • 出版社:光文社
  • 装丁:単行本(185ページ)
  • 発売日:2005-07-22
  • ISBN-10:4334974848
  • ISBN-13:978-4334974848
内容紹介:
「三島由紀夫がもっとも恐れていた作家」の未発表語り下ろし原稿。
死ぬことはありがたい/なぜ百姓になったのか/土と戯れる/人間はひとつの楽器/生きたくないのになぜ生きるのか/葬式について/恋愛について/男が泣くとき/名刺と権威に弱い日本人/三島の文学について…

すこぶるカッコいいエッセイ

深沢七郎について語ることができるなんて、思ってもみなかった。そもそも深沢七郎の文章がまだ未発表のまま残っているなんて、想像もしなかった。でも、未発表原稿は存在し、こうして単行本が出た。生きているといいことがあるもんだ。

エッセイである。タイトルも断然カッコいいが、中身もすこぶるカッコいい。たとえば「わが享楽の人生の道」と題された文章がある。セックスについてあれこれ考えるのだが、最後に唐突にニワトリの話になる。卵をとるためメスばかり放し飼いにしていた。放し飼いの庭に生えている草を刈り取るために立鎌を持って入っていき、誤って鎌がニワトリの背中にさわったことがあった。そうすると、そのニワトリが地に這(は)いつくばって両羽根を拡(ひろ)げたという。「上に乗るのを待つ体勢」なのだった。

深沢は、セックスのない生きものの世界は殺生なので、ニワトリを飼うのを止(や)める。ふいにそんな話が挟みこまれて、エッセイも終わる。ジンとする。

それから、裏表紙を含め、丁寧な造本と、貴重な写真が嬉しい。深沢への愛に溢(あふ)れた編集者の意志が見事に生きている。

【文庫版】
生きているのはひまつぶし / 深沢 七郎
生きているのはひまつぶし
  • 著者:深沢 七郎
  • 出版社:光文社
  • 装丁:文庫(197ページ)
  • 発売日:2010-10-13
  • ISBN-10:4334748600
  • ISBN-13:978-4334748609

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生きているのはひまつぶし 深沢七郎未発表作品集 / 深沢 七郎
生きているのはひまつぶし 深沢七郎未発表作品集
  • 著者:深沢 七郎
  • 出版社:光文社
  • 装丁:単行本(185ページ)
  • 発売日:2005-07-22
  • ISBN-10:4334974848
  • ISBN-13:978-4334974848
内容紹介:
「三島由紀夫がもっとも恐れていた作家」の未発表語り下ろし原稿。
死ぬことはありがたい/なぜ百姓になったのか/土と戯れる/人間はひとつの楽器/生きたくないのになぜ生きるのか/葬式について/恋愛について/男が泣くとき/名刺と権威に弱い日本人/三島の文学について…

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2005年8月11日

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