書評

『これからの社会のために哲学ができること 新道徳実在論とWEターン』(光文社)

  • 2026/01/26
これからの社会のために哲学ができること 新道徳実在論とWEターン / マルクス・ガブリエル,出口 康夫
これからの社会のために哲学ができること 新道徳実在論とWEターン
  • 著者:マルクス・ガブリエル,出口 康夫
  • 翻訳:渡邊 一弘,辻 麻衣子,高木 俊一
  • 出版社:光文社
  • 装丁:新書(296ページ)
  • 発売日:2025-11-19
  • ISBN-10:4334107524
  • ISBN-13:978-4334107529
内容紹介:
【内容紹介】先の見えない時代にこそ、“われわれ”には哲学が必要だ。今世紀を代表する頭脳であるマルクス・ガブリエルと、彼がいまもっとも共鳴する哲学者・出口康夫による「未来のための哲学… もっと読む
【内容紹介】
先の見えない時代にこそ、“われわれ”には哲学が必要だ。今世紀を代表する頭脳であるマルクス・ガブリエルと、彼がいまもっとも共鳴する哲学者・出口康夫による「未来のための哲学」対話。「わたし」一人でできる行為は何一つないと主張し、「われわれ」として生きることを提案する出口の「WEターン」を、「道徳」は実在すると主張するガブリエルの「新道徳実在論」が補完。古今東西の哲学に精通する二人が、学術界の壁を越えて、“普通のわれわれ”が生きる意味を教えてくれる。「出口氏のWEターンは、仏教的・東アジア的思想に根ざしつつ、最良の分析哲学、大陸哲学の方法論で吟味され、「アイデンティティ」「行為者性」「倫理」 が常に連関していることを理解するための言葉です。私の新道徳実在論はこのWEターンのアプローチを補完するものです」(ガブリエル「あとがき」より)


【目次】
まえがき:二人の哲学者の出会い:出口康夫

第1章 WEターン―出口康夫が考える未来のための哲学
はじめに:WEターンとは何か
できなさターン
アリストテレス・ヒエラルキー
カントと啓蒙主義
ニーチェとニーチェ主義
根源的できなさ
単独行為不可能性
行為者のWEターン
「われわれ」に開かれた「できなさ」
「わたし」の「かけがえのなさ」
できなさ主義
完全制御不可能性
聖なる愚者の系譜
価値とは何か
善のWEターン
狭義の道徳エージェントと広義の道徳エージェント
責任の免責条項
犯罪のケース
道徳的ペーシェント
「全う」と道徳的配慮の年輪構造
道徳的平等主義
道徳的配慮と権利の並行性
善いわれわれ、悪いわれわれ
中心占有的われわれ
善いわれわれ
中空的われわれ
「暗黒啓蒙」再訪

第2章 新道徳実在論―マルクス・ガブリエルが考える未来のための哲学
新しい啓蒙―道徳実在論と倫理資本主義
新実在論の創設
倫理資本主義―実践的社会経済改革のすすめ―
道徳的事実―溺れている子どもは助けなければならない―
道徳実在論―「善いこと」は存在する
具体的倫理―私たちを人間たらしめるもの―
多視点性と共生(co-becomings)
AI倫理と加速化知能
超領域的モラル・イノベーション・ラボ
行動する哲学へ

第3章 欲と悪の現代に哲学ができること 対談・前篇
「WEターン」と「新道徳実在論」
二人の哲学者の出会い
トランプ政権と娘の誕生
ビジネスを哲学する
哲学者のビジネスコンサルティング
哲学者が足りない!
東西哲学の差異と共通性
善と悪は共存する
宗教的多様性と共存の可能性
「悪」に対して哲学ができること

第4章 未来のために哲学ができること 対談・後篇
「未来の哲学」のはじまり
「価値論」へ
「大きな問い」への回帰
「未来」という概念
価値の時代へ
人間以外のものの価値
人工物の「反可処分権」
廃棄からリサイクルへ、所有から保管へ
使い捨てカルチャーからの脱却
単純化からの脱却
AIと人間
道徳的AIとは何か
道徳的AIはつくれるか
道徳的AIは必要か
パラ・ヒューマン社会
人間以外の法的権利
人工物は「意味の具現化」
人生の意味
これからの社会のために哲学ができること
「絶望しないスキル」の身につけ方
「ルール順守」の日本社会
「できなさ」と教育
インクルージョンと教育
急速に変化するドイツの教育
子どもたちのために私たちができること
小さな私たちが社会のためにできること

あとがき:未来のためのディープ・イノベーション:マルクス・ガブリエル
「新実在論」の旗手マルクス・ガブリエル氏と「WEターン」を唱える京大教授・出口康夫氏との哲学対話。われわれがいま未来をどう構想すればよいのか、その原理を探る。

出口氏の第1章「WEターン」がとても読ませる。これまで哲学は、人間個人が認識や行為の主体だと考えてきた。でも自転車に乗るにも、誰かが造った自転車で道路を進むだけ。行為はほかの人びとや事物によって可能なのだから、行為の主体はWEである。このように発想を「ターン」すると、現代哲学のタコ壺(つぼ)から脱けだし、社会のほんとうの課題と取り組める。ガブリエル氏もまったくその通りだと賛成する。

「WEターン」して眺めるなら、世界は≪マルチエージェントシステム≫(=WE)である。中心のわたし(I)を他者や動物や事物や自然が同心円状に取り囲んでいる。人間は≪根源的できなさ≫に制約されつつ、めいめい人生を全うせんとする。事物や自然も存在を全うせよ。それを目標に社会の課題と取り組み未来を構想しよう。著者両名はビジネスとも連携し惑星規模のプロジェクトを提案。哲学者の元気な発言を久しぶりに聞いた。注目である。
これからの社会のために哲学ができること 新道徳実在論とWEターン / マルクス・ガブリエル,出口 康夫
これからの社会のために哲学ができること 新道徳実在論とWEターン
  • 著者:マルクス・ガブリエル,出口 康夫
  • 翻訳:渡邊 一弘,辻 麻衣子,高木 俊一
  • 出版社:光文社
  • 装丁:新書(296ページ)
  • 発売日:2025-11-19
  • ISBN-10:4334107524
  • ISBN-13:978-4334107529
内容紹介:
【内容紹介】先の見えない時代にこそ、“われわれ”には哲学が必要だ。今世紀を代表する頭脳であるマルクス・ガブリエルと、彼がいまもっとも共鳴する哲学者・出口康夫による「未来のための哲学… もっと読む
【内容紹介】
先の見えない時代にこそ、“われわれ”には哲学が必要だ。今世紀を代表する頭脳であるマルクス・ガブリエルと、彼がいまもっとも共鳴する哲学者・出口康夫による「未来のための哲学」対話。「わたし」一人でできる行為は何一つないと主張し、「われわれ」として生きることを提案する出口の「WEターン」を、「道徳」は実在すると主張するガブリエルの「新道徳実在論」が補完。古今東西の哲学に精通する二人が、学術界の壁を越えて、“普通のわれわれ”が生きる意味を教えてくれる。「出口氏のWEターンは、仏教的・東アジア的思想に根ざしつつ、最良の分析哲学、大陸哲学の方法論で吟味され、「アイデンティティ」「行為者性」「倫理」 が常に連関していることを理解するための言葉です。私の新道徳実在論はこのWEターンのアプローチを補完するものです」(ガブリエル「あとがき」より)


【目次】
まえがき:二人の哲学者の出会い:出口康夫

第1章 WEターン―出口康夫が考える未来のための哲学
はじめに:WEターンとは何か
できなさターン
アリストテレス・ヒエラルキー
カントと啓蒙主義
ニーチェとニーチェ主義
根源的できなさ
単独行為不可能性
行為者のWEターン
「われわれ」に開かれた「できなさ」
「わたし」の「かけがえのなさ」
できなさ主義
完全制御不可能性
聖なる愚者の系譜
価値とは何か
善のWEターン
狭義の道徳エージェントと広義の道徳エージェント
責任の免責条項
犯罪のケース
道徳的ペーシェント
「全う」と道徳的配慮の年輪構造
道徳的平等主義
道徳的配慮と権利の並行性
善いわれわれ、悪いわれわれ
中心占有的われわれ
善いわれわれ
中空的われわれ
「暗黒啓蒙」再訪

第2章 新道徳実在論―マルクス・ガブリエルが考える未来のための哲学
新しい啓蒙―道徳実在論と倫理資本主義
新実在論の創設
倫理資本主義―実践的社会経済改革のすすめ―
道徳的事実―溺れている子どもは助けなければならない―
道徳実在論―「善いこと」は存在する
具体的倫理―私たちを人間たらしめるもの―
多視点性と共生(co-becomings)
AI倫理と加速化知能
超領域的モラル・イノベーション・ラボ
行動する哲学へ

第3章 欲と悪の現代に哲学ができること 対談・前篇
「WEターン」と「新道徳実在論」
二人の哲学者の出会い
トランプ政権と娘の誕生
ビジネスを哲学する
哲学者のビジネスコンサルティング
哲学者が足りない!
東西哲学の差異と共通性
善と悪は共存する
宗教的多様性と共存の可能性
「悪」に対して哲学ができること

第4章 未来のために哲学ができること 対談・後篇
「未来の哲学」のはじまり
「価値論」へ
「大きな問い」への回帰
「未来」という概念
価値の時代へ
人間以外のものの価値
人工物の「反可処分権」
廃棄からリサイクルへ、所有から保管へ
使い捨てカルチャーからの脱却
単純化からの脱却
AIと人間
道徳的AIとは何か
道徳的AIはつくれるか
道徳的AIは必要か
パラ・ヒューマン社会
人間以外の法的権利
人工物は「意味の具現化」
人生の意味
これからの社会のために哲学ができること
「絶望しないスキル」の身につけ方
「ルール順守」の日本社会
「できなさ」と教育
インクルージョンと教育
急速に変化するドイツの教育
子どもたちのために私たちができること
小さな私たちが社会のためにできること

あとがき:未来のためのディープ・イノベーション:マルクス・ガブリエル

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2025年12月27日

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