書評

『シン・アナキズム: 世直し思想家列伝』(NHK出版)

  • 2025/11/24
シン・アナキズム: 世直し思想家列伝 / 重田 園江
シン・アナキズム: 世直し思想家列伝
  • 著者:重田 園江
  • 出版社:NHK出版
  • 装丁:単行本(432ページ)
  • 発売日:2025-07-25
  • ISBN-10:4140912952
  • ISBN-13:978-4140912959
内容紹介:
歯切れよく小気味よい文体で多くのファンを持つ著者が「アナキズム」のイメージを大転換! ジェイン・ジェイコブズ、ヴァンダナ・シヴァからポランニー、おなじみグレーバー、そして「ねこ&森… もっと読む
歯切れよく小気味よい文体で多くのファンを持つ著者が「アナキズム」のイメージを大転換! ジェイン・ジェイコブズ、ヴァンダナ・シヴァからポランニー、おなじみグレーバー、そして「ねこ&森政稔」まで、独自の視点で選ばれた思想家たちを驚くほどわかりやすく解説。親しみやすい語り口で、読めば読むほど「今、何がおかしいのか」「どう立ち向かうべきか」が分かって力が湧いてくる、痛快きわまりない思想史。

序 私はいかにして心配するのをやめ、アナキストについて書くことにしたか

第I部 都市と農村のアナキズム実践――ジェイン・ジェイコブズとヴァンダナ・シヴァ

第一章 ジェイン・ジェイコブズ
1 上から見るか、ヨコから見るか
2 「生きた都市」の条件
3 東京オリンピックの都市再開発

第二章 ヴァンダナ・シヴァ
1 タネとプーさんと目的論
2 「緑の革命」と農業の工業化
3 生物多様性と商品化の相剋

補論(対談)重田園江・桑田学 エコノミーとエコロジーの思想史

第三章 ねこと森政稔
1 ねことお船とアナキズム
2 社会組織家としてのアナキスト

第Ⅱ部 シン・アナキズムの思想――カール・ポランニーとデイヴィッド・グレーバー

第四章 カール・ポランニー
1 ポランニー、波乱の生
2 労働・土地・貨幣の商品化をめぐって
3 商品経済という「悪魔のひき臼」
4 オーストロ・マルクス主義と「赤いウィーン」
5 協同組合の思想と運動
6 社会的所有における自由と民主主義
7 ポランニー的未来社会

第五章 デイヴィッド・グレーバー
1 近代科学のヤバさは、桑田学『人新世の経済思想史』に書いてある
2 グレーバーの生涯と著作
3 民主主義の起源は西洋にある?
4 国家に抗する社会の地「ゾミア」
5 『万物の黎明』における「ざっくり人類史」批判
6 価値と記号と構造と
7 欲望は社会関係からくる――疎外と物象化
8 借りたものは返さなくてはいけないの?
9 なぜどんなものにも値段が……
10 雄牛のうんこのお仕事たち
11 21世紀のカフカ的世界
12 民主主義とケアの倫理

終章 マッドマックス 怒りのデス・ロード
あとがき
人名索引
アナキズムが帰ってきた。シン・ゴジラのようだ。≪アナキズム=暴力=テロリズム≫と忌避された昔と違い、若い世代に支持を集める。

著者・重田園江氏は政治思想史が専門。五年前に突然、自分はアナキストだと啓示を受けた。そこで本書を構想。アナキズムは≪体系的ではない…理論ならざる理論≫なので、列伝の形式だ。三章に登場の森政稔(まさとし)氏はプルードン研究者でねこ好き。ねこは自分に忠実なアナキストだ。各章に愛すべきねこたちを並べた。

一章のジェイン・ジェイコブズはNYの旧市街を開発から守った。二章のヴァンダナ・シヴァは、北インドの樹木を伐採から守った。四章のカール・ポランニーは機能的社会主義を唱え、資本主義でも計画経済でもない第三の道を模索した。五章のデイヴィッド・グレーバーは人類学者で資本主義を批判する。シット・ジョブは社会に必要なのに待遇の悪い仕事。ブルシット・ジョブは社会に必要ないのに待遇がよい仕事。何でこうなる? 彼の『価値論』『負債論』が秘密を解明する。≪物理的脅威を必要とせずお互いを理解…するとき、われわれは…アナキスト≫と宣言する著者の大胆な野心作だ。
シン・アナキズム: 世直し思想家列伝 / 重田 園江
シン・アナキズム: 世直し思想家列伝
  • 著者:重田 園江
  • 出版社:NHK出版
  • 装丁:単行本(432ページ)
  • 発売日:2025-07-25
  • ISBN-10:4140912952
  • ISBN-13:978-4140912959
内容紹介:
歯切れよく小気味よい文体で多くのファンを持つ著者が「アナキズム」のイメージを大転換! ジェイン・ジェイコブズ、ヴァンダナ・シヴァからポランニー、おなじみグレーバー、そして「ねこ&森… もっと読む
歯切れよく小気味よい文体で多くのファンを持つ著者が「アナキズム」のイメージを大転換! ジェイン・ジェイコブズ、ヴァンダナ・シヴァからポランニー、おなじみグレーバー、そして「ねこ&森政稔」まで、独自の視点で選ばれた思想家たちを驚くほどわかりやすく解説。親しみやすい語り口で、読めば読むほど「今、何がおかしいのか」「どう立ち向かうべきか」が分かって力が湧いてくる、痛快きわまりない思想史。

序 私はいかにして心配するのをやめ、アナキストについて書くことにしたか

第I部 都市と農村のアナキズム実践――ジェイン・ジェイコブズとヴァンダナ・シヴァ

第一章 ジェイン・ジェイコブズ
1 上から見るか、ヨコから見るか
2 「生きた都市」の条件
3 東京オリンピックの都市再開発

第二章 ヴァンダナ・シヴァ
1 タネとプーさんと目的論
2 「緑の革命」と農業の工業化
3 生物多様性と商品化の相剋

補論(対談)重田園江・桑田学 エコノミーとエコロジーの思想史

第三章 ねこと森政稔
1 ねことお船とアナキズム
2 社会組織家としてのアナキスト

第Ⅱ部 シン・アナキズムの思想――カール・ポランニーとデイヴィッド・グレーバー

第四章 カール・ポランニー
1 ポランニー、波乱の生
2 労働・土地・貨幣の商品化をめぐって
3 商品経済という「悪魔のひき臼」
4 オーストロ・マルクス主義と「赤いウィーン」
5 協同組合の思想と運動
6 社会的所有における自由と民主主義
7 ポランニー的未来社会

第五章 デイヴィッド・グレーバー
1 近代科学のヤバさは、桑田学『人新世の経済思想史』に書いてある
2 グレーバーの生涯と著作
3 民主主義の起源は西洋にある?
4 国家に抗する社会の地「ゾミア」
5 『万物の黎明』における「ざっくり人類史」批判
6 価値と記号と構造と
7 欲望は社会関係からくる――疎外と物象化
8 借りたものは返さなくてはいけないの?
9 なぜどんなものにも値段が……
10 雄牛のうんこのお仕事たち
11 21世紀のカフカ的世界
12 民主主義とケアの倫理

終章 マッドマックス 怒りのデス・ロード
あとがき
人名索引

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2025年11月15日

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