「管理職はすぐ失業」「生成AIのせいで労働は無価値に」…こんな見通しは間違いだ。統合テクノクラシー(AIに政治をやらせる)でも企業リバタリアニズム(国家を優秀な企業家が経営する)でもない、第三の道(デジタル民主主義)を目指そう。副題「民主主義の未来をひらく多元技術PLURALITYとは?」の通りに、政治を再生し、経済を活性化させる具体的処方箋を提案する。
プラットフォーマー(グーグルやアップルや…)が人びとのデータをかすめ取る。情報には価値があるのだから対価を要求しよう。それを代行するのがMIDs(個人データの仲介者)。生成AIは膨大なデータを日々読み込まないと機能しない。団体交渉で情報の尊厳を守ろう。
著者は柄谷行人氏の議論を踏まえ交換様式Xを提案する。DX時代の新しい互助的社会関係だ。COSTは財産に相応の税金をかけて共有する仕組み。QF、QVは企業経営や選挙を改善する仕組み。デジタル技術による企業現場や民主主義の新しいかたちだ。台湾でも日本でも実験が行なわれつつある。この社会を生きるに値する社会に作り変える新機軸が満載の、必読の一冊である。