書評

『吉田健一』(新潮社)

  • 2026/06/11
吉田健一 / 長谷川 郁夫
吉田健一
  • 著者:長谷川 郁夫
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:単行本(653ページ)
  • 発売日:2014-09-30
  • ISBN-10:4103363916
  • ISBN-13:978-4103363910
内容紹介:
独自の透徹した文学世界を築きあげた吉田健一。その稀有な生涯と作品を語りつくした決定版評伝! ケンブリッジ留学時の知的な冒険。河上徹太郎との美しい師弟関係。中村光夫、福田恆存、大岡昇… もっと読む
独自の透徹した文学世界を築きあげた吉田健一。その稀有な生涯と作品を語りつくした決定版評伝! ケンブリッジ留学時の知的な冒険。河上徹太郎との美しい師弟関係。中村光夫、福田恆存、大岡昇平、三島由紀夫らとの鉢ノ木会での交遊――長い文学修行を経て、批評、随筆、小説が三位一体となった無比の境地に到達、豊穣な晩年を過ごした人生の達人・吉田健一の全貌を、最晩年に編集者として謦咳に接した著者が解き明かす!

死へ向かう苦しさと美しさ

亡くなってすでに30年以上の時間が経過してなお、読者を魅了してやまない吉田健一。英文学の翻訳者として、犀利(さいり)な批評の書き手として、あるいは孤高の小説家として、私たちはまだ彼のことを覚えている。

著者の長谷川郁夫は、吉田の晩年、編集者としてその謦咳(けいがい)に接した。

むろん、この評伝には実際に見聞した吉田の姿が描かれている。だが、目立つのは、吉田の生きた時代に、彼の同時代人だった文学者たちの書き残した著作から引用される吉田像である。

河上徹太郎はもとより、中村光夫、福田恆存(つねあり)、大岡昇平といった文学者たちの書物には、なんと生き生きとして、格好良い吉田健一が描かれていることか!

著者も気づいていることだろうが、評伝は、死に向かう。吉田の死という動かせない事実へ筆を進ませながら、著者は息を弾ませている。文章が苦しげだ。その一方で、引用される吉田健一の晩年の文章の、ゆったりとした美しさ。評伝のラストは文章のコントラストにおいて際立っていると感じた。

評伝に導かれるように、吉田健一の『金沢』を再読した。
吉田健一 / 長谷川 郁夫
吉田健一
  • 著者:長谷川 郁夫
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:単行本(653ページ)
  • 発売日:2014-09-30
  • ISBN-10:4103363916
  • ISBN-13:978-4103363910
内容紹介:
独自の透徹した文学世界を築きあげた吉田健一。その稀有な生涯と作品を語りつくした決定版評伝! ケンブリッジ留学時の知的な冒険。河上徹太郎との美しい師弟関係。中村光夫、福田恆存、大岡昇… もっと読む
独自の透徹した文学世界を築きあげた吉田健一。その稀有な生涯と作品を語りつくした決定版評伝! ケンブリッジ留学時の知的な冒険。河上徹太郎との美しい師弟関係。中村光夫、福田恆存、大岡昇平、三島由紀夫らとの鉢ノ木会での交遊――長い文学修行を経て、批評、随筆、小説が三位一体となった無比の境地に到達、豊穣な晩年を過ごした人生の達人・吉田健一の全貌を、最晩年に編集者として謦咳に接した著者が解き明かす!

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2014年10月15日

ALL REVIEWS 書評講座(オンライン受講) ≫オンラインで参加する
現地満席|オンライン参加OK
「読む」側から、 「書く」側へ。
オンライン参加OK/過去回アーカイブ付。
全12回・途中申込OK。豪華講師陣の書評講座、開催中。
  • 週に1度お届けする書評ダイジェスト!
  • 「新しい書評のあり方」を探すALL REVIEWSのファンクラブ
関連記事
陣野 俊史の書評/解説/選評
ページトップへ