
中国に渡航し、聖地である天台山・五臺山を巡礼した平安時代の天台僧・成尋の旅日記『参天台五臺山記』。
470日間書き続けられた日記を読解・解説し、当時の風俗・習慣・食生活・動植物・交通事情・旅の様子を知る。
【内容説明】
1)470日連続して記された旅日記『参天台五臺山記』の世界
延久4・5年(1072・1073)、中国に渡航し、天台宗の本山である天台山や文殊信仰の聖地、五臺山を巡礼した平安時代の天台僧・成尋60歳の旅日記『参天台五臺山記』。470日間欠かさず書き続けられた日記をわかりやすい文体で読み解き、当時の旅を体感する。
2)克明に記された北宋中国の風俗・文化を知る
『参天台五臺山記』には仏教関係のみならず、宋代中国で最も充実した神宗期(在位1067~1085)の政治・経済・社会・文化などの見聞が記録される。さらに風俗・習慣・食生活・動植物までもが詳細に書かれており、約1,000年前の宋代中国の様子を知ることができる。
3)平安時代の天台僧が過ごした旅の日常を知る
『参天台五臺山記』には、中国の水陸交通や、毎日の金銭の収支・物価までもが克明に記されており、平安時代の旅がどのように行われたのかを知ることができる。
4)図版を交え、原点史料を読む醍醐味を知る
著者は史料纂集古記録編『参天台五臺山記』第一・第二(八木書店、2023年)の校訂を担当。その最新の研究成果を踏まえ、図版を交えて、生き生きと描かれた旅日記を読み解く。
◆成尋(1013~1081)
平安時代中期の天台宗の僧。母は女流歌人で「成尋阿闍梨母集」を残した源俊賢の娘(成尋阿闍梨母)。曾祖父は儀式書『西宮記』をまとめた源高明。延久4年(1072)60歳で北宋へ渡り、天台宗の本山である天台山や文殊信仰の聖地五臺山を旅した。また、円仁や奝然の旅行記と恵心僧都源信の『往生要集』を宋にもたらす一方で、経典など600巻余りを日本へ送った。帰国しようとしたが慰留され宋朝に残り、首都開封で没した。
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