後書き

『飛鳥宮の儀礼と空間構成』(八木書店)

  • 2026/07/26
飛鳥宮の儀礼と空間構成 /
飛鳥宮の儀礼と空間構成
  • 編集:田島公・海野聡・鶴見泰寿
  • 出版社:八木書店
  • 装丁:単行本(226ページ)
  • 発売日:2025-02-27
  • ISBN-10:4840626081
  • ISBN-13:978-4840626088
内容紹介:
飛鳥時代の王宮「飛鳥宮」や周辺の空間構成に注目し、文献史学・考古学・建築史学の第一人者が集結し論究した、学際的研究の集大成!舒明天皇から持統天皇による藤原京遷都まで、天皇の居所で… もっと読む
飛鳥時代の王宮「飛鳥宮」や周辺の空間構成に注目し、文献史学・考古学・建築史学の第一人者が集結し論究した、学際的研究の集大成!
舒明天皇から持統天皇による藤原京遷都まで、天皇の居所であり政務・儀礼の場となった飛鳥宮とその周辺について、最新の発掘調査を踏まえ複眼的に検証!

●飛鳥時代の王宮
舒明天皇(在位629~641)の飛鳥岡本宮から、694年に持統天皇(在位686~697)が藤原京に遷都するまで、王権の中心となった飛鳥宮。中大兄皇子らによって蘇我入鹿が殺された乙巳の変(645年)など、飛鳥時代の大事件の舞台となったこの王宮とその周辺では、現在も発掘調査が積み重ねられ、多くの成果を得ている。

●世界文化遺産候補の中核遺跡
2024年9月、文化庁は2026年の「世界文化遺産」への登録を目指し、「飛鳥・藤原の宮都」を国内候補として、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)に推薦することを決めた。飛鳥宮跡はその中核の構成資産である。重要な遺跡として注目される飛鳥宮について、現在までの研究の到達点を示した、飛鳥宮研究の集大成。

●学際研究の集大成
飛鳥宮とその周辺での発掘調査を踏まえ、文献史学・考古学・建築史学の研究者が一堂に会し、3つの学問分野から複眼的に検証。

●天皇を頂点とした律令国家の象徴
飛鳥宮が、大陸から導入された空間構成とそれ以前からの固有の空間構成とを共存させ、東アジアからみても独自の空間を作り上げていたことに注目、古代天皇の象徴である王宮から古代東アジアの情勢をも読み解いた、古代史研究必読の書。
2026年7月、「飛鳥・藤原の宮都」の世界遺産登録決定が発表されました。
日本の古代国家誕生の歩みをひも解く「宮殿研究の最前線」シリーズは、学問の枠を超えた最新の学際的成果から、世界遺産の価値をどこよりも深掘りする決定版。本書の編者がその読みどころを紹介します。

「飛鳥・藤原の宮都」の全貌に迫る「宮殿研究の最前線」

世界的には宮殿と宗教建築は為政者の粋を凝らした建築であることが多いが、日本では武家が台頭した中世以降、宮殿建築は規模的にも技術的にも、必ずしも日本の最高級建築ではなくなった。
ただし古代には天皇を頂点とする律令国家が形成されると、宮殿は建築的にも高級技術が用いられた。日本の宮殿は大陸から導入した空間構成とそれ以前からのヤマト的な空間構成とを共存させることで、東アジアのなかでも独自の空間を作り上げているとみられ、そこに対外的空間と自国のアイデンティティの空間がみえる。ここに揺れ動く古代東アジアの情勢が映し出されている。とりわけ、前期難波宮では広大な朝堂院が形成されたのに対し、飛鳥宮では大極殿が設けられたものの、朝堂院が確認されておらず、日本の古代宮殿の形成過程におけるターニングポイントである。

さて、本書『飛鳥宮の儀礼と空間構成〔シリーズ 宮殿研究の最前線1〕』では飛鳥宮の空間的な特性と儀礼の関係は精緻な論が積み重ねられたが、さらなる飛鳥宮の位置付けには前期難波宮・藤原宮など、前後に営まれた宮殿の検討も不可欠である。本書を契機に、古代宮殿の空間構成と律令国家の形成、さらには東アジアにおける日本の立ち位置をひも解いていくことが必要である。それには文献史学・考古学・建築史学等の諸分野での精緻な検討と諸分野の枠を超えた議論が求められ、今後も継続して、古代宮殿に関する学際的な研究の場を構築し、その成果を積み重ねていきたい。
なお、シリーズ「宮殿研究の最前線」続刊として『前期難波宮 藤原宮の儀礼と空間構成〔シリーズ 宮殿研究の最前線2〕』も刊行し、以後も続刊の予定である。今回の世界遺産登録をきっかけいに、ぜひご覧いただければ幸いである。

[書き手]
海野 聡(うんの さとし)
東京大学大学院工学系研究科准教授。日本建築史・文化財保存。

[主な著書]
『飛鳥宮の儀礼と空間構成〔シリーズ 宮殿研究の最前線1〕』(共編、八木書店、2024年)
『前記難波宮 藤原宮の儀礼と空間構成〔シリーズ 宮殿研究の最前線2〕』(共編、八木書店、2025年)
『古建築を復元する―過去と現在の架け橋―』(吉川弘文館、2017年)
『森と木と建築の日本史』(岩波書店、2022年)
『古建築を受け継ぐ―メンテナンスからみる日本建築史―』(岩波書店、2024年)
『宮殿の古代史 飛鳥から藤原、平城、平安へ』(集英社新書、2025年)
他多数。
飛鳥宮の儀礼と空間構成 /
飛鳥宮の儀礼と空間構成
  • 編集:田島公・海野聡・鶴見泰寿
  • 出版社:八木書店
  • 装丁:単行本(226ページ)
  • 発売日:2025-02-27
  • ISBN-10:4840626081
  • ISBN-13:978-4840626088
内容紹介:
飛鳥時代の王宮「飛鳥宮」や周辺の空間構成に注目し、文献史学・考古学・建築史学の第一人者が集結し論究した、学際的研究の集大成!舒明天皇から持統天皇による藤原京遷都まで、天皇の居所で… もっと読む
飛鳥時代の王宮「飛鳥宮」や周辺の空間構成に注目し、文献史学・考古学・建築史学の第一人者が集結し論究した、学際的研究の集大成!
舒明天皇から持統天皇による藤原京遷都まで、天皇の居所であり政務・儀礼の場となった飛鳥宮とその周辺について、最新の発掘調査を踏まえ複眼的に検証!

●飛鳥時代の王宮
舒明天皇(在位629~641)の飛鳥岡本宮から、694年に持統天皇(在位686~697)が藤原京に遷都するまで、王権の中心となった飛鳥宮。中大兄皇子らによって蘇我入鹿が殺された乙巳の変(645年)など、飛鳥時代の大事件の舞台となったこの王宮とその周辺では、現在も発掘調査が積み重ねられ、多くの成果を得ている。

●世界文化遺産候補の中核遺跡
2024年9月、文化庁は2026年の「世界文化遺産」への登録を目指し、「飛鳥・藤原の宮都」を国内候補として、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)に推薦することを決めた。飛鳥宮跡はその中核の構成資産である。重要な遺跡として注目される飛鳥宮について、現在までの研究の到達点を示した、飛鳥宮研究の集大成。

●学際研究の集大成
飛鳥宮とその周辺での発掘調査を踏まえ、文献史学・考古学・建築史学の研究者が一堂に会し、3つの学問分野から複眼的に検証。

●天皇を頂点とした律令国家の象徴
飛鳥宮が、大陸から導入された空間構成とそれ以前からの固有の空間構成とを共存させ、東アジアからみても独自の空間を作り上げていたことに注目、古代天皇の象徴である王宮から古代東アジアの情勢をも読み解いた、古代史研究必読の書。

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