パピルスが語る古代都市: ローマ支配下エジプトのギリシア人 / ピーター・パーソンズ
パピルスが語る古代都市: ローマ支配下エジプトのギリシア人
  • 著者:ピーター・パーソンズ
  • 翻訳:髙橋 亮介
  • 出版社:知泉書館
  • 装丁:単行本(514ページ)
  • 発売日:2022-08-03
  • ISBN-10:4862853684
  • ISBN-13:978-4862853684
内容紹介:
1897年,イギリスのエジプト探検隊は,ナイル中部の失われた古代都市オクシリンコスで,ゴミの山から『トマスによる福音書』が書かれた一葉のパピルス紙を発見した。以後,陸続と発掘されたギリシ… もっと読む
1897年,イギリスのエジプト探検隊は,ナイル中部の失われた古代都市オクシリンコスで,ゴミの山から『トマスによる福音書』が書かれた一葉のパピルス紙を発見した。以後,陸続と発掘されたギリシア語パピルスは,その地の人々が廃棄した古典文学や聖書の断片,そして個人の手紙や実務文書など膨大な生活の記録であった。
クレオパトラの死により紀元1世紀にプトレマイオス朝が滅亡した後,エジプトはローマ帝国の属州となったが,支配層をギリシア人が占めるギリシア世界であった。彼らはエジプトに同化しながらギリシア文化を拠り所とし,文字はギリシア語で記すことを決めたのである。
本書は,オックスフォード大学で古典ギリシア語教授を務めた,オクシリンコス・パピルス解読の第一人者である著者が,大量の出土史料を駆使して,当時の社会と文化を余すことなく描き出す。ギリシア人の目に映るローマ皇帝,ナイル川の氾濫と農作物の収穫,市場での経済活動,現金と穀物を扱う銀行取引,厳しい徴税や徴発の制度,子供の教育に奔走する親,病気や怪我に際して助けを求めた魔術や医学など,人々の息づかいを伝えるとともに,迫害を受けた初期キリスト教のあり方や,古典作品について古典学の視点から光が当てられる。
巻頭カラー口絵と,訳者による各章の懇切な要約も付し,古代世界へと誘う,わが国初登場のパピルス学入門である。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

この本の書評/解説/選評
ページトップへ