本好きなら時間を忘れて没頭するこの上ないテーマについて、古今東西の奇書を渉猟し、歴史に埋もれていた珍本を発掘し、豊富な図版を集め、古書マニアの本領を発揮してその魅力を縦横無尽に語る。
不可解な事象、奇人変人、世界を欺いた事例など、「奇書」にまつわる珍妙な話や驚くような事件が次々と登場する。ヴォイニッチ手稿や台湾誌といった世界的に有名な奇書から、フォルツァス伯偽目録事件やヴィクトリア朝時代に俗語を収集した人物、中世宗教書の奇抜な事件まで。さらに、人の皮で作った本のブーム、フセインの血のコーラン、国を挙げての大騒動となった宝探しの本、秘密結社の奇抜な規則が書かれた本、非常に美しいでっちあげの図鑑、宗教にまつわる突飛な奇蹟、偽予言者の本、地獄を描いた本、誤った科学を伝えた本、巨大な本、極小の本など。
これまでのシリーズ同様、著者自身の蔵書から紹介する知られざる図版も多数収録。
本を愛する人であれば、人の果てしのない想像力と創作意欲の歴史を大いに楽しめるはずだ。
『世界をまどわせた地図』(4刷/八重洲本大賞受賞)、『世界をおどらせた地図』、『宇宙を回す天使、月を飛び回る怪人』(2刷)の著者による、知的好奇心を満たすシリーズ最新刊。
【目次】
はじめに
「本」ではない本
血肉の書
暗号の書
偽りの書
驚異の収集本
神秘の書
宗教にまつわる奇書
科学の奇書
並外れたスケールの本
変わった書名
主な参考文献/索引
【「はじめに」より一部抜粋】
私が常に追い求めてきたのは、…本の周りに広がる暗闇の中でひっそりと輝きを放っている宝石たちである。忘れ去られた一風変わった本、珍奇さゆえにどのジャンルにも分類されないが賞賛されている本よりずっと魅力的な本。場所や時間や予算に制限されずに思う存分本を集められるとしたら、「最上級の奇書の棚」にはどんな本が並ぶだろうか。…
こうした奇書は、…愛書家の心を躍らせ、本を愛することの意味を再考させ、より深めてくれるのだ。ところがどういうわけか、みな無名の淵の底に沈められてしまった。それでも、本は呼吸をしている。とうの昔に失われてしまったであろう思想や知識やユーモアを当時のまま残しながら。…埋もれていた本たちを探し当てて掘り起こし、本書で取り上げることは、私の使命のような気がしている。本書はこうした本たちに捧げられた書棚だ。変わりダネ、逸脱者、長らく行方知れずだったはみ出し者。そんな忘れ去られていた本たちが今ここに集結する。
ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、
書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。
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