書評

『界』(文藝春秋)

  • 2026/03/14
界 / 藤沢 周
  • 著者:藤沢 周
  • 出版社:文藝春秋
  • 装丁:文庫(203ページ)
  • 発売日:2019-04-10
  • ISBN-10:4167912562
  • ISBN-13:978-4167912567
内容紹介:
月岡 千秋 指宿 化野 寿 宿根木 比良 八橋 山王下

妻子と別居中の榊は、恋人を東京に残したまま、地霊うごめく土地を遍歴する。秋田の娼家と清廉な女子高生たち、厳冬の佐渡で理容店の女主人が持つ剃刀、三河八橋で一夜を共にした人妻の乳房、非在ゆえに一層ふくらむ女たちの気配―官能と死のあわいから異界が立ち現われる瞬間を描く、藤沢周の本格小説集。

日本の土地に根ざす物語

藤沢周の最新短篇(ぺん)集。「月岡」「千秋」「指宿」「化野」……と続く小説は、日本の土地に根ざした物語になっている。

とはいえ、藤沢作品にお馴染(なじ)みの、中年男の哀愁や疲労は健在だ。男は東京に残してきた女のことをどこかで気にしながら、目の前に広がる風景に心奪われる。酔いしれる。

たとえば「指宿」。知覧の特攻平和会館でみた、若い兵隊たちの残した言葉が主人公の脳裡(のうり)に甦(よみがえ)り、小説の行く先に影を落とし始めるのだ。旅行に誘った若い女からは同行を拒まれ、主人公は死とエロスのあわいを漂っていく……。

旅先の古典芸能が小説に奥行きを与えている。藤沢周は作家として円熟の境地に達しつつあるのでは?



界 / 藤沢 周
  • 著者:藤沢 周
  • 出版社:文藝春秋
  • 装丁:文庫(203ページ)
  • 発売日:2019-04-10
  • ISBN-10:4167912562
  • ISBN-13:978-4167912567
内容紹介:
月岡 千秋 指宿 化野 寿 宿根木 比良 八橋 山王下

妻子と別居中の榊は、恋人を東京に残したまま、地霊うごめく土地を遍歴する。秋田の娼家と清廉な女子高生たち、厳冬の佐渡で理容店の女主人が持つ剃刀、三河八橋で一夜を共にした人妻の乳房、非在ゆえに一層ふくらむ女たちの気配―官能と死のあわいから異界が立ち現われる瞬間を描く、藤沢周の本格小説集。

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2015年5月21日

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