書評
『ハワイ、蘭嶼』(左右社)
2つの島で全感覚を解放
管啓次郎の書く文章に接すると、自分の感覚のどこかが確実に刺激されるのがわかる。それは、たぶん、管が自分の全感覚を開放して、自然や動物に向き合っているからだろう。本書には、二つの島の滞在記が収められている。ハワイと蘭嶼(らんしょ)。ハワイはいいとして、蘭嶼ってどこ?という方がほとんどだろう。引用する。
「台湾の南端に近く、台東からは1ダースほどの乗客しか乗れない定期便の飛行機で、わずか二十五分で着いてしまう」ところにあり、「曇っていれば正確に灰色、晴れていれば正確にトルコ石の青をした海に」浮かぶ「恐いほど濃密な緑の島」らしい。
管は二つの島で、見たこともない魚に出会い、激しい気候の変化にぶつかる。どこか懐かしい人々と会話し(言語に対する耳の柔軟さが素晴らしい)、おいしい食べ物に感動する。
大袈裟(おおげさ)な旅行記ではない。行きたい島に出かけ、そこで感覚を開放し、呼吸する。散文詩のような文章もある。素朴な味わいのある筆致だ。
途中に挟まれている数十枚の写真が、本当に魅力的。島の温度と湿度を正確に伝えている。
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