書評

『エレメンタル 批評文集』(左右社)

  • 2023/12/01
エレメンタル 批評文集 / 管 啓次郎
エレメンタル 批評文集
  • 著者:管 啓次郎
  • 出版社:左右社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(400ページ)
  • 発売日:2023-06-16
  • ISBN-10:4865283722
  • ISBN-13:978-4865283723
内容紹介:
おれは何者でもない、そんな否定から出発し、広大なる風景をかたちづくった詩人フェルナンド・ペソア、英語というパトリアを持ちながら異郷に迷い、イタリア語、フランス語、スペイン語に挑… もっと読む
おれは何者でもない、そんな否定から出発し、
広大なる風景をかたちづくった詩人フェルナンド・ペソア、
英語というパトリアを持ちながら異郷に迷い、
イタリア語、フランス語、スペイン語に挑んだヘミングウェイ、
師匠ジョイスに劣らぬ語学のひとであり、
知られざるメキシコ詩の翻訳者だったサミュエル・ベケット、
現代のシステムのはずれへと歩みつづける稀有なる旅人、写真家津田直、
書くことと読むことにおいて、無数の線をつなぎ、
解きほぐしてゆくレベッカ・ソルニット。

海と島影、山々とマングローブが織りなす小さな海域が響かせる世界文学をいち早く論じ、
文学と翻訳の可能性と自由とを描いてきた詩人・比較文学者・翻訳家、管啓次郎の批評文集成!

「世界の広大さと深みを再発見する仕事は、手つかずでぼくらに残されている。」
詩人・翻訳家・比較文学研究者である著者の世界文学や翻訳についてのエッセイを集めた本。入手が難しくなった3冊の本から選んだ文章と単行本未収録の文章からなる。

本を読むことについて、とりわけ世界の文学を(翻訳で)読むことについて、背中を押された気分だ。書物を通じて世界の芯を素手でつかむことができるのだという確信を抱く。もちろんその書物は紙に印刷したものとは限らないし、文字が書かれているとも限らない。

書名にも採られている文章はアメリカの文化史家・フェミニスト・社会思想家のレベッカ・ソルニットについて書いたもの。

「読書がめざすものは一時的なアイデンティティの解消であり、その手法は現実の自分を中断して読まれている世界に没入することにあり、不在のままその世界をくぐりぬけるという体験が、また自分に新たな線を付け加えてくれる」なんていうことばを見つけると嬉しくなる。読書のよろこびをこんなに簡潔に言い表してくれるなんて。著者はソルニットを「生態学的意識をつねにもちつつ森羅万象を考える人々のひとり」というが著者自身もそう。
エレメンタル 批評文集 / 管 啓次郎
エレメンタル 批評文集
  • 著者:管 啓次郎
  • 出版社:左右社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(400ページ)
  • 発売日:2023-06-16
  • ISBN-10:4865283722
  • ISBN-13:978-4865283723
内容紹介:
おれは何者でもない、そんな否定から出発し、広大なる風景をかたちづくった詩人フェルナンド・ペソア、英語というパトリアを持ちながら異郷に迷い、イタリア語、フランス語、スペイン語に挑… もっと読む
おれは何者でもない、そんな否定から出発し、
広大なる風景をかたちづくった詩人フェルナンド・ペソア、
英語というパトリアを持ちながら異郷に迷い、
イタリア語、フランス語、スペイン語に挑んだヘミングウェイ、
師匠ジョイスに劣らぬ語学のひとであり、
知られざるメキシコ詩の翻訳者だったサミュエル・ベケット、
現代のシステムのはずれへと歩みつづける稀有なる旅人、写真家津田直、
書くことと読むことにおいて、無数の線をつなぎ、
解きほぐしてゆくレベッカ・ソルニット。

海と島影、山々とマングローブが織りなす小さな海域が響かせる世界文学をいち早く論じ、
文学と翻訳の可能性と自由とを描いてきた詩人・比較文学者・翻訳家、管啓次郎の批評文集成!

「世界の広大さと深みを再発見する仕事は、手つかずでぼくらに残されている。」

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2023年9月23日

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