まだ続く、達人たちの言い訳
作家たちが迫りくる〆切を前にして(あるいは過ぎて)苦しみ抜いた果てに放った言葉を集めた『〆切本』。大きな話題を呼んだが、本書はその続編。柳の下にドジョウは……いた!バルザックやドストエフスキー、向田邦子、川上未映子まで。さすが文章の達人たちは、自分の書けない言い訳も気が利いている。弁明に費やす時間があるなら、原稿を書けばいいじゃないかと思うのは素人で、本業以外の原稿はスラスラ書けるのである。
命を削った文章ではない。その分、おかしい。サラリーマン小説を多く残した源氏鶏太が「俺は、樹になりたい」と〆切との苦闘をユーモラスに語った一文に、今回は唸った。笑った。