書評

『異類婚姻譚』(講談社)

  • 2025/12/10
異類婚姻譚 / 本谷 有希子
異類婚姻譚
  • 著者:本谷 有希子
  • 出版社:講談社
  • 装丁:ペーパーバック(192ページ)
  • 発売日:2018-10-16
  • ISBN-10:406513224X
  • ISBN-13:978-4065132241
内容紹介:
子供もなく職にも就かず、安楽な結婚生活を送る専業主婦の私は、ある日、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く。「俺は家では何も考えたくない男だ。」と宣言する夫は大量の揚… もっと読む
子供もなく職にも就かず、安楽な結婚生活を送る専業主婦の私は、ある日、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く。「俺は家では何も考えたくない男だ。」と宣言する夫は大量の揚げものづくりに熱中し、いつの間にか夫婦の輪郭が混じりあって…。「夫婦」という形式への違和を軽妙洒脱に描いた表題作が第154回芥川賞受賞! 自由奔放な想像力で日常を異化する傑作短編集。

異類婚姻譚
トモ子のバウムクーヘン
犬たち
藁の夫

小説にしか描けないたくらみ

4篇を収める。表題作の「異類婚姻譚」が第154回芥川賞を受賞した。

結婚してもうすぐ4年が経(た)つ夫婦。「私」は専業主婦。夫はテレビ好きを宣言し、家で3時間は見続けている。かと思えば、iPadでコインを貯(た)めるだけのゲームに熱中する。ふと見ると、夫の顔が溶けだして、夫に似た何かに変容している。

夫婦のことを書いた小説。だが、似た者夫婦という古臭い言い回しを粉々にするような衝撃をラストに秘めている。愉(たの)しみを奪うので結末がどうなるのか書かないけれど、どうか、最後まで読んでみてほしい。

山に猫を捨てに行く話がこれほど効果的伏線だったとは! 小説にしか描けないたくらみに満ちている。


異類婚姻譚 / 本谷 有希子
異類婚姻譚
  • 著者:本谷 有希子
  • 出版社:講談社
  • 装丁:ペーパーバック(192ページ)
  • 発売日:2018-10-16
  • ISBN-10:406513224X
  • ISBN-13:978-4065132241
内容紹介:
子供もなく職にも就かず、安楽な結婚生活を送る専業主婦の私は、ある日、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く。「俺は家では何も考えたくない男だ。」と宣言する夫は大量の揚… もっと読む
子供もなく職にも就かず、安楽な結婚生活を送る専業主婦の私は、ある日、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く。「俺は家では何も考えたくない男だ。」と宣言する夫は大量の揚げものづくりに熱中し、いつの間にか夫婦の輪郭が混じりあって…。「夫婦」という形式への違和を軽妙洒脱に描いた表題作が第154回芥川賞受賞! 自由奔放な想像力で日常を異化する傑作短編集。

異類婚姻譚
トモ子のバウムクーヘン
犬たち
藁の夫

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2016年2月4日

  • 週に1度お届けする書評ダイジェスト!
  • 「新しい書評のあり方」を探すALL REVIEWSのファンクラブ
関連記事
陣野 俊史の書評/解説/選評
ページトップへ