書評
『天皇への敗北:シリーズ哲学講話』(新潮社)
國分功一郎氏の憲法論。奇妙な書名は、改憲派に対し劣勢の護憲派が≪当時の天皇の明仁≫の≪護憲の立場≫に頼った情けない状態をさす。
戦後の憲法論は明治の文学のような役割を担った、と著者は言う。国民の何たるかを明らかにする。その原則は民主主義/立憲主義。前者は≪民衆が権力を作り出す≫、後者は≪いかなる権力も制限される≫。時に背反する。良質な憲法理解だ。
戦後、憲法改正に反対した美濃部達吉の論を紹介する。第一条は≪日本帝国ハ聯合国ノ指揮ヲ受ケ…天皇之ヲ統治ス≫とすべき。≪憲法を欺瞞(ぎまん)の具に…してはならない≫から。
加藤典洋『敗戦後論』も取り上げる。アジアに謝罪する前にまず自国の死者を悼むべき。正論だが猛反撥(はんぱつ)を受けた。学生だった著者も反撥に与(くみ)し≪借り物を使って考えた振りをしている自分を…軽蔑した≫と率直に反省する。そして加藤のいう「ねじれ」「欺瞞」を受け止め直す。戦後言論の歪(ゆが)みを照らす中野重治や江藤淳の仕事にも目配りを忘れない。
本書は、講義と別に設けた「哲学講話」シリーズの一冊。専門の垣根を乗り越えて若い世代の人びとと交流する風通しのよさが心地よい。
戦後の憲法論は明治の文学のような役割を担った、と著者は言う。国民の何たるかを明らかにする。その原則は民主主義/立憲主義。前者は≪民衆が権力を作り出す≫、後者は≪いかなる権力も制限される≫。時に背反する。良質な憲法理解だ。
戦後、憲法改正に反対した美濃部達吉の論を紹介する。第一条は≪日本帝国ハ聯合国ノ指揮ヲ受ケ…天皇之ヲ統治ス≫とすべき。≪憲法を欺瞞(ぎまん)の具に…してはならない≫から。
加藤典洋『敗戦後論』も取り上げる。アジアに謝罪する前にまず自国の死者を悼むべき。正論だが猛反撥(はんぱつ)を受けた。学生だった著者も反撥に与(くみ)し≪借り物を使って考えた振りをしている自分を…軽蔑した≫と率直に反省する。そして加藤のいう「ねじれ」「欺瞞」を受け止め直す。戦後言論の歪(ゆが)みを照らす中野重治や江藤淳の仕事にも目配りを忘れない。
本書は、講義と別に設けた「哲学講話」シリーズの一冊。専門の垣根を乗り越えて若い世代の人びとと交流する風通しのよさが心地よい。
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