書評

『ヤクザが消えた裏社会』(筑摩書房)

  • 2026/03/23
ヤクザが消えた裏社会 / 廣末 登
ヤクザが消えた裏社会
  • 著者:廣末 登
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:新書(224ページ)
  • 発売日:2026-02-09
  • ISBN-10:4480077286
  • ISBN-13:978-4480077288
内容紹介:
黒いスーツにサングラス、肩で風切るヤクザは、もういない。しかし、今の「クリーンな社会」では、お年寄りが悪質な犯罪に巻き込まれ、若者が闇バイトに手を染めている。姿の見えない悪人が増… もっと読む
黒いスーツにサングラス、肩で風切るヤクザは、もういない。しかし、今の「クリーンな社会」では、お年寄りが悪質な犯罪に巻き込まれ、若者が闇バイトに手を染めている。姿の見えない悪人が増加してしまったのだ。暴力団排除条例によって、反社会勢力は社会から一掃されたかに見えたが、不寛容な社会が、更生を望む人々の社会復帰を妨げている。彼らを裏社会に還流させ、表社会から悪人を排除し続けていれば、本当に「安心」が実現するのか。行き過ぎた自己責任社会を問いなおす。

目次
序章 暴力団博士とよばれて
第一章 アンタッチャブルな存在
第二章 世間のまなざし
第三章 近代化の立役者
第四章 裏社会のサービス業
第五章 悪なき時代に生まれる悪
終章 排除ではなく、社会的包摂を
著者はヤクザの研究が専門で「暴力団博士」の異名をもつ。≪貧しい家庭に育ち…小学校にはほとんど登校≫せず、盛り場をうろつく≪不良になっ≫た。でもヤクザにならず二七歳で大学に入学。卒業後苦労し、大学院で犯罪社会学を学んだ。

平成4年の「暴力団対策法」、反社を定めた「平成19年政府指針」、平成22年からの「暴力団排除条例」、と締めつけが強まる。ヤクザは収入源を断たれ居場所も奪われ、組員も減って絶滅寸前だ。代わりに「半グレ」「トクリュウ」など新手の犯罪集団が一般市民を食い物にする。悪人が去って極悪人がやって来た。

著者は、組織を離れた「元暴」や更生中の少年らを取材し、現行制度の欠陥を指摘する。ヤクザは組を離れても5年間は銀行口座もクレカも作れず賃貸契約も結べず、就職も困難。どう社会復帰しろと言うのか。やむなく組織に戻ったり半グレになったり、再犯に至る例もままある。

人間の生きる権利が、刑法ならぬ地方自治体の条例で奪われる。憲法違反でないのか。更生を支援せず暴力団を忌避しても、かえって犯罪がはびこるだけだ。裏社会に精通する廣末氏ならではの提言に傾聴だ。
ヤクザが消えた裏社会 / 廣末 登
ヤクザが消えた裏社会
  • 著者:廣末 登
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:新書(224ページ)
  • 発売日:2026-02-09
  • ISBN-10:4480077286
  • ISBN-13:978-4480077288
内容紹介:
黒いスーツにサングラス、肩で風切るヤクザは、もういない。しかし、今の「クリーンな社会」では、お年寄りが悪質な犯罪に巻き込まれ、若者が闇バイトに手を染めている。姿の見えない悪人が増… もっと読む
黒いスーツにサングラス、肩で風切るヤクザは、もういない。しかし、今の「クリーンな社会」では、お年寄りが悪質な犯罪に巻き込まれ、若者が闇バイトに手を染めている。姿の見えない悪人が増加してしまったのだ。暴力団排除条例によって、反社会勢力は社会から一掃されたかに見えたが、不寛容な社会が、更生を望む人々の社会復帰を妨げている。彼らを裏社会に還流させ、表社会から悪人を排除し続けていれば、本当に「安心」が実現するのか。行き過ぎた自己責任社会を問いなおす。

目次
序章 暴力団博士とよばれて
第一章 アンタッチャブルな存在
第二章 世間のまなざし
第三章 近代化の立役者
第四章 裏社会のサービス業
第五章 悪なき時代に生まれる悪
終章 排除ではなく、社会的包摂を

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