書評
『動物記』(河出書房新社)
人類史語る森での会話
これまでも動物は文学の中で語られてきた。だが、いま、動物に新しい光を当てようとする動きが世界的にある。動物との「共生」や「調和」といった、人間中心の発想を抜けた地点で、動物をどう捉えるか。そうした世界的な潮流とはおそらく別に書き継がれてきた高橋源一郎の新作は、タイトルどおり動物がたくさん出てくる。冒頭の「動物の謝肉祭」に始まり、「変身」を経て、最後の「動物記」まで。
「動物の謝肉祭」では、森に集まったタヌキ、キツネ、シカ、クマ、オオカミの会話を通じて、人類史が語られる。
「変身」はもちろんカフカの小説を下敷きにしている。書き出しはこうだ。
ある朝、不安な夢から目を覚ますと、オオアリクイは、自分が檻(おり)の中で、不格好な人間に変わっているのに気がついた。
個人的には、自分の飼ってきた動物を抒情(じょじょう)的に綴(つづ)った「動物記」が私小説みたいで好きだが、長篇(へん)小説というよりも、動物をめぐる短篇集として楽しめると思う。
同じ連載から『「悪」と戦う』がかつて単行本化され、今度は本書が生まれた。変幻自在の筆捌(さば)きである。
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