書評
『枕草子/方丈記/徒然草』(河出書房新社)
創作のような古典の翻訳
河出書房新社版の日本文学全集、最新刊。古典の翻訳である。今回は、枕草子を酒井順子が、方丈記を高橋源一郎が、徒然草を内田樹が訳している。高橋訳の方丈記を読んで、吃驚(びっくり)。誰もが知っている冒頭は、「ゆく河の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず。淀(よど)みに浮かぶうたかたは……」。
高橋はこう訳す。
あっ。歩いていたのに、なんだか急に立ち止まって、川を見たくなった。川が流れている。そこでは、いつも変らず、水が流れているように見える。けれども、同じ水が流れているわけではないのだ。あたりまえだけれど
一番驚いているのは、鴨長明かな。しかも作者は「カモノ・ナガアキラ」と表記。翻訳とは創作である。
ALL REVIEWSをフォローする






































