書評

『枕草子/方丈記/徒然草』(河出書房新社)

  • 2025/06/21
枕草子/方丈記/徒然草  / 酒井 順子 (翻訳),高橋 源一郎 (翻訳),内田 樹 (翻訳)
枕草子/方丈記/徒然草
  • 著者:酒井 順子 (翻訳),高橋 源一郎 (翻訳),内田 樹 (翻訳)
  • 翻訳:酒井 順子,高橋 源一郎,内田 樹
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(512ページ)
  • 発売日:2016-11-22
  • ISBN-10:4309728774
  • ISBN-13:978-4309728773
内容紹介:
英知とユーモアの傑作、平安の「枕草子」、鎌倉時代の震災文学、「方丈記」、人生訓である「徒然草」。三大随筆を新訳・全訳で。

創作のような古典の翻訳

河出書房新社版の日本文学全集、最新刊。古典の翻訳である。今回は、枕草子を酒井順子が、方丈記を高橋源一郎が、徒然草を内田樹が訳している。

高橋訳の方丈記を読んで、吃驚(びっくり)。誰もが知っている冒頭は、「ゆく河の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず。淀(よど)みに浮かぶうたかたは……」。

高橋はこう訳す。

あっ。歩いていたのに、なんだか急に立ち止まって、川を見たくなった。川が流れている。そこでは、いつも変らず、水が流れているように見える。けれども、同じ水が流れているわけではないのだ。あたりまえだけれど

一番驚いているのは、鴨長明かな。しかも作者は「カモノ・ナガアキラ」と表記。翻訳とは創作である。
枕草子/方丈記/徒然草  / 酒井 順子 (翻訳),高橋 源一郎 (翻訳),内田 樹 (翻訳)
枕草子/方丈記/徒然草
  • 著者:酒井 順子 (翻訳),高橋 源一郎 (翻訳),内田 樹 (翻訳)
  • 翻訳:酒井 順子,高橋 源一郎,内田 樹
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(512ページ)
  • 発売日:2016-11-22
  • ISBN-10:4309728774
  • ISBN-13:978-4309728773
内容紹介:
英知とユーモアの傑作、平安の「枕草子」、鎌倉時代の震災文学、「方丈記」、人生訓である「徒然草」。三大随筆を新訳・全訳で。

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2016年12月8日

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