書評

『夜を聴く者』(河出書房新社)

  • 2025/11/07
夜を聴く者 / 坂上 秋成
夜を聴く者
  • 著者:坂上 秋成
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(194ページ)
  • 発売日:2016-03-17
  • ISBN-10:4309024513
  • ISBN-13:978-4309024516
内容紹介:
伝わらない思いとか、つぶされていく気持ちとか…。「夜」の声は、耳を傾けようとする人にしか聴こえない。「夜」の声は、聴くことを許された者にしか聴こえない。この作品は、今日も、どこかで、かすかに聴こえる私たちの「夜」を描いた小説です。気鋭が贈る、狂おしいほどの「友情」小説。

夜を聴く者 パーフェクトスタイル

新たなキャラクター小説開拓

2篇を収める。

表題作には、主として3人の登場人物しか出てこない。ミハイは鍼灸(しんきゅう)師。彼の中学からの友人トウヤは、ソーシャルゲームを開発する会社に勤めている。トウヤには綾鳥こずえという恋人がいる。ミハイとトウヤは高校をドロップアウトした後、なんとなく相手を必要としながら生きてきた。そこへこずえが介入してきた――という構図。

同性愛と異性愛がぶつかり合う瞬間がある。友情と恋愛の衝突がある。そう単純化して言ってしまえば、小説の味わいとは違う感じもあるが、トウヤをめぐってミハイとこずえがぶつけ合う言葉に、この作家の小説の真骨頂を見た。

キャラクター小説の新たな地平。
夜を聴く者 / 坂上 秋成
夜を聴く者
  • 著者:坂上 秋成
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(194ページ)
  • 発売日:2016-03-17
  • ISBN-10:4309024513
  • ISBN-13:978-4309024516
内容紹介:
伝わらない思いとか、つぶされていく気持ちとか…。「夜」の声は、耳を傾けようとする人にしか聴こえない。「夜」の声は、聴くことを許された者にしか聴こえない。この作品は、今日も、どこかで、かすかに聴こえる私たちの「夜」を描いた小説です。気鋭が贈る、狂おしいほどの「友情」小説。

夜を聴く者 パーフェクトスタイル

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2016年3月24日

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