書評
『星か獣になる季節』(筑摩書房)
心の揺れを正確に表現
詩人とは、言葉を摑(つか)まえる人のことである。中原中也賞を若くして受賞した詩人・最果タヒの初の小説集を読んで、その思いを強くした。表題作は書簡の形式。地方都市で冴(さ)えない学生生活を送る「ぼく」こと山城翔太が、地下アイドル「ラブきみミキサー」のメンバー、愛野真実に送った、長い長い手紙である。
ぼくは真実ちゃんを応援することを生きがいにしていたが、ある日、彼女が殺人を犯したというニュースがネット上を駆け巡る。ぼくは、クラスメートの森下とともに、真相を探り出そうとするのだが……。
冒頭。「きみはかわいいだけだ。凡庸で貧弱な精神、友達だけが社会で、ぼくらのことを光のかたまりぐらいにしか見ていない。だからぼくは軽蔑が出来(でき)た。遠くにいたって踊っていたって、きみのことを好きだと思えたんです。どうして、人を殺したんですか」。
小説の構成要素は限定されている。人物たちの心中と会話に小説のかなりの部分が割かれている。
だが、彼らの、絶え間なく動く心の揺れを、最果タヒは、言葉として正確に表現し得ている。
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