書評

『星か獣になる季節』(筑摩書房)

  • 2026/03/29
星か獣になる季節 / 最果 タヒ
星か獣になる季節
  • 著者:最果 タヒ
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:文庫(192ページ)
  • 発売日:2018-02-07
  • ISBN-10:4480435018
  • ISBN-13:978-4480435019
内容紹介:
地下アイドル・愛野真実の応援だけを生き甲斐にするぼくは、ある日、彼女が殺人犯だというニュースを聞く。かわいいだけで努力しか取柄のない凡庸なアイドルである真実ちゃんが殺人犯なんて冤罪に決まっていると、やはり真実ちゃんのファンだという同じクラスのイケメン・森下とともに真相を追い始めるが―。歪んだピュアネスが傷だらけで疾走するポップでダークな青春小説!

心の揺れを正確に表現

詩人とは、言葉を摑(つか)まえる人のことである。中原中也賞を若くして受賞した詩人・最果タヒの初の小説集を読んで、その思いを強くした。

表題作は書簡の形式。地方都市で冴(さ)えない学生生活を送る「ぼく」こと山城翔太が、地下アイドル「ラブきみミキサー」のメンバー、愛野真実に送った、長い長い手紙である。

ぼくは真実ちゃんを応援することを生きがいにしていたが、ある日、彼女が殺人を犯したというニュースがネット上を駆け巡る。ぼくは、クラスメートの森下とともに、真相を探り出そうとするのだが……。

冒頭。「きみはかわいいだけだ。凡庸で貧弱な精神、友達だけが社会で、ぼくらのことを光のかたまりぐらいにしか見ていない。だからぼくは軽蔑が出来(でき)た。遠くにいたって踊っていたって、きみのことを好きだと思えたんです。どうして、人を殺したんですか」。

小説の構成要素は限定されている。人物たちの心中と会話に小説のかなりの部分が割かれている。

だが、彼らの、絶え間なく動く心の揺れを、最果タヒは、言葉として正確に表現し得ている。
星か獣になる季節 / 最果 タヒ
星か獣になる季節
  • 著者:最果 タヒ
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:文庫(192ページ)
  • 発売日:2018-02-07
  • ISBN-10:4480435018
  • ISBN-13:978-4480435019
内容紹介:
地下アイドル・愛野真実の応援だけを生き甲斐にするぼくは、ある日、彼女が殺人犯だというニュースを聞く。かわいいだけで努力しか取柄のない凡庸なアイドルである真実ちゃんが殺人犯なんて冤罪に決まっていると、やはり真実ちゃんのファンだという同じクラスのイケメン・森下とともに真相を追い始めるが―。歪んだピュアネスが傷だらけで疾走するポップでダークな青春小説!

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2015年3月25日

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