前の人が曲がったら、曲がる。
バスが来たら乗ってみる。
そうして道に、仕事に、人生に、はたまた納豆を買うか否かにまで迷ってきた著者による、
旅、仕事、学生時代……などにまつわる、書き下ろし迷エッセイ集。
プラハで北がわからない「タコと地図」、
勝手に食事を決められる「おばあさんのバイキング」、
18歳の夏に高田さんが見せた「変圧器」、
ミニスカポリスに手錠をかけられる「革命の夜」など、20作品を収録。
巻き込まれて迷い込む、抜けられないエッセイの楽しみ!
◉立川談笑さん推薦!
「正直で不器用。まるで落語の熊さん。」
◉はじめにより
僕がこんなに迷うのには理由がある。僕には主体性がないのだ。自分でものを決めることができないのだ。僕がものごとを始める動機はいつだって外からやって来て、僕自身の中にはほとんどない。
(中略)
受注体質の巻き込まれ型。それが僕なのだ。
うっかり受注すれば、自分では想像もしていなかった地点へ運ばれることがある。巻き込まれた結果、見たことのないものに出会えることがある。だから僕はそういう自分が案外嫌いではないし、それをどこかで楽しんでいる節もある。何もかもが理路整然としているより、矛盾だらけで予想もつかない人生のほうが面白いと思うのだ。
微かな記憶をたどって、これまで僕がさんざん迷ってきたあれこれを書き出してみた。この本を読む人が、一緒になって迷い混乱してくれるようにと、僕はこっそり願っている。
◉目次
はじめに
タコと地図
おばあさんのバイキング
初めてのコックピット
幻の店
ほんの少しバカ
ひきわり納豆
変圧器
背もたれ問題
困った人
革命の夜
形から入りたい
フィルム
また深夜にこの繁華街で
交渉
ひと言の呪縛
宿泊先に異常なし
忘れたままでいい
どこでもない場所
すべての道は
弁慶
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