まるで異星人との対話
NHK在職中は、番組制作のかたわら、伝説的な広報ツイートを残し、退職後、小説『伴走者』なる佳作を発表した浅生鴨さん。今度はエッセーである。これが実に面白い。「僕はいつも迷っている」から始まる文章は20編ほど。浅生さんはいつでもどこでもちょっと立ち止まり、なんとなく躊躇し、偶然そこを脱していく。人から頼まれると断れない。巻き込まれる。「受注体質の巻き込まれ型」なる自己分析は、言い得て妙なのだ。
親知らずを抜きに人生で初めて歯医者さんに行った話など、浅生さんの手にかかれば、ほとんど異星人との対話のようになり果てる。大笑い必至なので、1人でこっそり読まれたし。