書評

『どこでもない場所』(左右社)

  • 2024/01/22
どこでもない場所 / 浅生 鴨
どこでもない場所
  • 著者:浅生 鴨
  • 出版社:左右社
  • 装丁:単行本(208ページ)
  • 発売日:2018-09-05
  • ISBN-10:4865282092
  • ISBN-13:978-4865282092
内容紹介:
迷子でいいのだ。前の人が曲がったら、曲がる。バスが来たら乗ってみる。そうして道に、仕事に、人生に、はたまた納豆を買うか否かにまで迷ってきた著者による、旅、仕事、学生時代……など… もっと読む
迷子でいいのだ。
前の人が曲がったら、曲がる。
バスが来たら乗ってみる。
そうして道に、仕事に、人生に、はたまた納豆を買うか否かにまで迷ってきた著者による、
旅、仕事、学生時代……などにまつわる、書き下ろし迷エッセイ集。
プラハで北がわからない「タコと地図」、
勝手に食事を決められる「おばあさんのバイキング」、
18歳の夏に高田さんが見せた「変圧器」、
ミニスカポリスに手錠をかけられる「革命の夜」など、20作品を収録。
巻き込まれて迷い込む、抜けられないエッセイの楽しみ!

◉立川談笑さん推薦!
「正直で不器用。まるで落語の熊さん。」

◉はじめにより
僕がこんなに迷うのには理由がある。僕には主体性がないのだ。自分でものを決めることができないのだ。僕がものごとを始める動機はいつだって外からやって来て、僕自身の中にはほとんどない。

(中略)

 受注体質の巻き込まれ型。それが僕なのだ。
うっかり受注すれば、自分では想像もしていなかった地点へ運ばれることがある。巻き込まれた結果、見たことのないものに出会えることがある。だから僕はそういう自分が案外嫌いではないし、それをどこかで楽しんでいる節もある。何もかもが理路整然としているより、矛盾だらけで予想もつかない人生のほうが面白いと思うのだ。
微かな記憶をたどって、これまで僕がさんざん迷ってきたあれこれを書き出してみた。この本を読む人が、一緒になって迷い混乱してくれるようにと、僕はこっそり願っている。

◉目次
はじめに
タコと地図
おばあさんのバイキング
初めてのコックピット
幻の店
ほんの少しバカ
ひきわり納豆
変圧器
背もたれ問題
困った人
革命の夜
形から入りたい
フィルム
また深夜にこの繁華街で
交渉
ひと言の呪縛
宿泊先に異常なし
忘れたままでいい
どこでもない場所
すべての道は
弁慶

まるで異星人との対話

NHK在職中は、番組制作のかたわら、伝説的な広報ツイートを残し、退職後、小説『伴走者』なる佳作を発表した浅生鴨さん。今度はエッセーである。

これが実に面白い。「僕はいつも迷っている」から始まる文章は20編ほど。浅生さんはいつでもどこでもちょっと立ち止まり、なんとなく躊躇し、偶然そこを脱していく。人から頼まれると断れない。巻き込まれる。「受注体質の巻き込まれ型」なる自己分析は、言い得て妙なのだ。

親知らずを抜きに人生で初めて歯医者さんに行った話など、浅生さんの手にかかれば、ほとんど異星人との対話のようになり果てる。大笑い必至なので、1人でこっそり読まれたし。


どこでもない場所 / 浅生 鴨
どこでもない場所
  • 著者:浅生 鴨
  • 出版社:左右社
  • 装丁:単行本(208ページ)
  • 発売日:2018-09-05
  • ISBN-10:4865282092
  • ISBN-13:978-4865282092
内容紹介:
迷子でいいのだ。前の人が曲がったら、曲がる。バスが来たら乗ってみる。そうして道に、仕事に、人生に、はたまた納豆を買うか否かにまで迷ってきた著者による、旅、仕事、学生時代……など… もっと読む
迷子でいいのだ。
前の人が曲がったら、曲がる。
バスが来たら乗ってみる。
そうして道に、仕事に、人生に、はたまた納豆を買うか否かにまで迷ってきた著者による、
旅、仕事、学生時代……などにまつわる、書き下ろし迷エッセイ集。
プラハで北がわからない「タコと地図」、
勝手に食事を決められる「おばあさんのバイキング」、
18歳の夏に高田さんが見せた「変圧器」、
ミニスカポリスに手錠をかけられる「革命の夜」など、20作品を収録。
巻き込まれて迷い込む、抜けられないエッセイの楽しみ!

◉立川談笑さん推薦!
「正直で不器用。まるで落語の熊さん。」

◉はじめにより
僕がこんなに迷うのには理由がある。僕には主体性がないのだ。自分でものを決めることができないのだ。僕がものごとを始める動機はいつだって外からやって来て、僕自身の中にはほとんどない。

(中略)

 受注体質の巻き込まれ型。それが僕なのだ。
うっかり受注すれば、自分では想像もしていなかった地点へ運ばれることがある。巻き込まれた結果、見たことのないものに出会えることがある。だから僕はそういう自分が案外嫌いではないし、それをどこかで楽しんでいる節もある。何もかもが理路整然としているより、矛盾だらけで予想もつかない人生のほうが面白いと思うのだ。
微かな記憶をたどって、これまで僕がさんざん迷ってきたあれこれを書き出してみた。この本を読む人が、一緒になって迷い混乱してくれるようにと、僕はこっそり願っている。

◉目次
はじめに
タコと地図
おばあさんのバイキング
初めてのコックピット
幻の店
ほんの少しバカ
ひきわり納豆
変圧器
背もたれ問題
困った人
革命の夜
形から入りたい
フィルム
また深夜にこの繁華街で
交渉
ひと言の呪縛
宿泊先に異常なし
忘れたままでいい
どこでもない場所
すべての道は
弁慶

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2018年10月25日

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