古谷田奈月『望むのは』(新潮社)、吉田篤弘『遠くの街に犬の吠える』(筑摩書房)、古川日出男『非常出口の音楽』(河出書房新社)、温又柔『真ん中の子どもたち』(集英社)
北村 浩子
ひとつは、おうちの中だけで喋ることば。
もうひとつが、おうちの外でも通じることば。"
台湾人の母と日本人の父の間に生まれ、幼いころから日本で育った琴子は、大学生になって、中国語(普通語)を勉強するため留学を決意する。そして上海の語学学校で、同じく台湾×日本のハーフである嘉玲、両親ともに中国人で日本で生まれ育った舜哉と出会う。
「母語」とはなにか、「国境」とはなにか、三人はそれぞれ悩みながら友情を深めていくが――。
日本、台湾、中国という三つの国の間で、自らのアイデンティティを探し求める若者たちの姿を鮮やかに描き出す青春小説。第157回芥川龍之介賞候補作。
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