(序文「珍説愚説礼賛」より)
どんな分野でも、我々に示される歴史は断片でしかない。歴史は山の頂をぴょんぴょん飛ぶばかりで、ぱっくり口を開けた深淵にほのみえる、妖しい薄明かりをしばし眺めるだけの余裕を我々に与えてはくれない。どの教科書を播いても、出てくる人物は同じであり、同じ判断基準であり、決して厳しくはない同じ批判であり、同じ忘却である。それは知性の歴史である。否、知識だけの歴史である。(中略)まこと、愚かしさがあるからこそ、知性も存在しうるのである。(中略)珍説愚説は何よりも、その時代の鏡である。(中略)ある時代の愚かしさを白日の下に晒すことは、おそらく、当時の輝かしい出来事だけを綿密に調査するよりずっとその時代についての理解を深めてくれる。その他の書店
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