書評
『ケルトとは何か』(講談社)
ケルト人の世界はしばしば古くて神秘的なヨーロッパの基層文化といわれる。だが、ケルト文化は「近代に創設された伝統」が多い。祭祀(さいし)者のドルイドも神秘な妖精のハロウィーンも同類であり、古代から継承されてきた言語こそがケルト文化の核心をなす。ケルト諸語からなる文化圏のなかに現フランスにあたるガリアがあり、古代ガリア語碑文もある。
ローマの書体を借りた碑銘は「オピアノスの息子、イカウオスが、カンタロンをブリギンドナに捧(ささ)げた」と訳される。古代ケルト語は、S(主語)、V(動詞)、O(目的語)の語順だが、中世以降のケルト諸語ではVSOの語順になっているらしい。例外や変遷があり、音韻・文法・語彙(ごい)などで、印欧諸語と異なる特徴を共有しているが、そこに住む人々が「ケルト人」「ケルト民族」などのまとまりをなしていたわけではない。人間の文化は異なる集団とふれ合い、混ざり合っているが、この文化移転はケルト文化の変容に典型的に見られ、歴史上の好例をなす。
ICCAVOS.OP
PIANICNOS.IEV
RV.BRIGINDONI
CANTALON
ローマの書体を借りた碑銘は「オピアノスの息子、イカウオスが、カンタロンをブリギンドナに捧(ささ)げた」と訳される。古代ケルト語は、S(主語)、V(動詞)、O(目的語)の語順だが、中世以降のケルト諸語ではVSOの語順になっているらしい。例外や変遷があり、音韻・文法・語彙(ごい)などで、印欧諸語と異なる特徴を共有しているが、そこに住む人々が「ケルト人」「ケルト民族」などのまとまりをなしていたわけではない。人間の文化は異なる集団とふれ合い、混ざり合っているが、この文化移転はケルト文化の変容に典型的に見られ、歴史上の好例をなす。
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