書評
『Time in Maps 地図に刻まれた時間』(ニュートンプレス)
長い年月に多くの地図がつくられてきたが、今日でも「空間と違って、時間は腹立たしいほど捉えどころがない」と感じられる。地図そのものは人類最古の社会からあったらしい。
だが、地図の量、種類、分布が急増したのは一四五〇年頃からだった。コロンブス以後のアメリカと近世の日本の史料を調査すると、地球の反対側にありながら、歴史地図の製作がほぼ同時期に流行していたという。歴史地図の必要さは、夢・恐怖・発見・災害などのさまざまな動機があるが、その背景にはグローバル時代が迫っていたことがある。十五世紀半ば以降の地図は、いずれの地域にあっても、人間の棲息(せいそく)する空間を探究する道具だったことがわかる。
すべての地図には時間の刻印があり、日付を無視しても永遠を装っても、例外はないという。ライバルや先住民を消し去っても、集団的記憶は生き残り、拭い去ることはできない。本書はさまざまな地域や時代をあつかう研究者たちの論考集であるが、地図が時間を伝える重要な史料であること、その知的営みにあらためて気づかせてくれるだろう。
だが、地図の量、種類、分布が急増したのは一四五〇年頃からだった。コロンブス以後のアメリカと近世の日本の史料を調査すると、地球の反対側にありながら、歴史地図の製作がほぼ同時期に流行していたという。歴史地図の必要さは、夢・恐怖・発見・災害などのさまざまな動機があるが、その背景にはグローバル時代が迫っていたことがある。十五世紀半ば以降の地図は、いずれの地域にあっても、人間の棲息(せいそく)する空間を探究する道具だったことがわかる。
すべての地図には時間の刻印があり、日付を無視しても永遠を装っても、例外はないという。ライバルや先住民を消し去っても、集団的記憶は生き残り、拭い去ることはできない。本書はさまざまな地域や時代をあつかう研究者たちの論考集であるが、地図が時間を伝える重要な史料であること、その知的営みにあらためて気づかせてくれるだろう。
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