書評

『石原家の兄弟』(新潮社)

  • 2025/12/09
石原家の兄弟 / 石原 伸晃,石原 良純,石原 宏高,石原 延啓
石原家の兄弟
  • 著者:石原 伸晃,石原 良純,石原 宏高,石原 延啓
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(292ページ)
  • 発売日:2025-10-16
  • ISBN-10:4103875038
  • ISBN-13:978-4103875031
内容紹介:
父は慎太郎、叔父は裕次郎。華麗なる「昭和の家族」の知られざる日々。「俺はこの宇宙を孤りで過ぎる隕石だ」――作家・政治家として一世を風靡した父。彼を支え家庭を切り盛りした母・典子。… もっと読む
父は慎太郎、叔父は裕次郎。華麗なる「昭和の家族」の知られざる日々。
「俺はこの宇宙を孤りで過ぎる隕石だ」――作家・政治家として一世を風靡した父。
彼を支え家庭を切り盛りした母・典子。そして家族同然だった裕次郎。
強烈な家風で知られる「石原家」の日常は涙と笑いに満ちていた。
お正月から大晦日まで、幼少期の出来事から介護、看取り、相続までを
兄弟それぞれの視点から振り返る追憶エッセイ。


<目次>
1 母―典子に寄せて
父の隣で微笑んで(*伸晃)/いつも探していた母の手(*良純)/
石原家の司令塔(*宏高)/遺された俳句と母のまなざし(*延啓)
*以下、兄弟が同上の順で執筆

2 父―慎太郎が逝った日
一家を率いたランナー、去る/「俺は裕次郎のように達観できない」/
最後までマッチョな男で/その繋がりが終わったりなぞする訳がない

3 叔父―裕次郎の思い出
裕次郎叔父と勝新さんと銀座の夜/今も裕次郎を守り続ける〝裕次郎の女房〟/
幻の〝裕次郎の養子〟/「叔父さんのデスマスクを描いてあげてくれ」

4 家
離れと井戸があった逗子・桜山の家/親父が親父のために建てた親父の家/
自分の部屋が持てた田園調布の「兵舎」/心が帰る場所

5 海
叔父と見た夜の虹、父子三人で漂った南洋/「気象予報士になれたのは俺のおかげだ」/
石原家は海で繋がっている/潮気が抜けるから、また海へ行こう

6 お正月
家族行事はいつもあたふた/岡本太郎の鐘が鳴る大晦日の大騒ぎ/
最後の正月の忘れ得ぬ朝焼け/正月の基本は家族一緒に過ごすこと

7 教育
体験重視の慎太郎流/感性の赴くままに/
コツコツ型の自分を認めてくれた父/四角が丸に見えるのならば丸く描け

8 仕事
父の背を見て/就職先は「西部警察」/
慎太郎が信じた生き方を息子は貫けているか?/仕事とは人と関わることから

9 結婚
良純に取り持たれて今や戦友/大雨の結婚式と大揉めの披露宴/
元気だった父母も招いた感謝の銀婚式/結婚しないでいたら小説のネタにされた件

10 介護
父母の人生の第4コーナー/「おい良純。俺は3ヶ月で死ぬってよ」/
父母の介護・看取りで考えた自分の最終章/余命3ヶ月、桜の花は見られないだろう

11 相続
遺言、ほぼ完遂/生きるとはエネルギーを出し続けること/
形見のネクタイがやっと様になった/家族という巡り巡る大きな環
石原裕次郎主演『嵐を呼ぶ男』を満員の映画館で観た。そのころ、慎太郎はその兄にすぎなかった。だが、兄は健筆家であるばかりか、国会議員にもなり、東京都知事としても活躍した。4人の息子に恵まれ、今や精悍(せいかん)な中年男たち、その雑感集だ。

長男伸晃は、小学卒業文集の「将来の夢」に「政治家」と書いた。三〇一万票を得て参議院議員になった父親が頼もしかったらしい。それに太平洋横断のヨットレースにも参加している。次男良純は、大学の卒業アルバムの就職欄に「西部警察」と記されている。だが、多忙な父親の本性が作家であることを見抜いているのはさすがだ。三男宏高は、銀行マンとして重なる通貨危機を経験しながら、「人のために働く」政治家になった。自分の信念を重んじた父親が敬愛すべき男だったのだろう。四男延啓は、父親の野望のごとく画家になったが、それはあくまで人との関わりであり、同化して作品を創作するのが自分の性分だったからだ。

ともあれ、仲良し四人兄弟の背景には父親のわがままを生涯優しくつつんでいた母典子がいたことが痛感される。
石原家の兄弟 / 石原 伸晃,石原 良純,石原 宏高,石原 延啓
石原家の兄弟
  • 著者:石原 伸晃,石原 良純,石原 宏高,石原 延啓
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(292ページ)
  • 発売日:2025-10-16
  • ISBN-10:4103875038
  • ISBN-13:978-4103875031
内容紹介:
父は慎太郎、叔父は裕次郎。華麗なる「昭和の家族」の知られざる日々。「俺はこの宇宙を孤りで過ぎる隕石だ」――作家・政治家として一世を風靡した父。彼を支え家庭を切り盛りした母・典子。… もっと読む
父は慎太郎、叔父は裕次郎。華麗なる「昭和の家族」の知られざる日々。
「俺はこの宇宙を孤りで過ぎる隕石だ」――作家・政治家として一世を風靡した父。
彼を支え家庭を切り盛りした母・典子。そして家族同然だった裕次郎。
強烈な家風で知られる「石原家」の日常は涙と笑いに満ちていた。
お正月から大晦日まで、幼少期の出来事から介護、看取り、相続までを
兄弟それぞれの視点から振り返る追憶エッセイ。


<目次>
1 母―典子に寄せて
父の隣で微笑んで(*伸晃)/いつも探していた母の手(*良純)/
石原家の司令塔(*宏高)/遺された俳句と母のまなざし(*延啓)
*以下、兄弟が同上の順で執筆

2 父―慎太郎が逝った日
一家を率いたランナー、去る/「俺は裕次郎のように達観できない」/
最後までマッチョな男で/その繋がりが終わったりなぞする訳がない

3 叔父―裕次郎の思い出
裕次郎叔父と勝新さんと銀座の夜/今も裕次郎を守り続ける〝裕次郎の女房〟/
幻の〝裕次郎の養子〟/「叔父さんのデスマスクを描いてあげてくれ」

4 家
離れと井戸があった逗子・桜山の家/親父が親父のために建てた親父の家/
自分の部屋が持てた田園調布の「兵舎」/心が帰る場所

5 海
叔父と見た夜の虹、父子三人で漂った南洋/「気象予報士になれたのは俺のおかげだ」/
石原家は海で繋がっている/潮気が抜けるから、また海へ行こう

6 お正月
家族行事はいつもあたふた/岡本太郎の鐘が鳴る大晦日の大騒ぎ/
最後の正月の忘れ得ぬ朝焼け/正月の基本は家族一緒に過ごすこと

7 教育
体験重視の慎太郎流/感性の赴くままに/
コツコツ型の自分を認めてくれた父/四角が丸に見えるのならば丸く描け

8 仕事
父の背を見て/就職先は「西部警察」/
慎太郎が信じた生き方を息子は貫けているか?/仕事とは人と関わることから

9 結婚
良純に取り持たれて今や戦友/大雨の結婚式と大揉めの披露宴/
元気だった父母も招いた感謝の銀婚式/結婚しないでいたら小説のネタにされた件

10 介護
父母の人生の第4コーナー/「おい良純。俺は3ヶ月で死ぬってよ」/
父母の介護・看取りで考えた自分の最終章/余命3ヶ月、桜の花は見られないだろう

11 相続
遺言、ほぼ完遂/生きるとはエネルギーを出し続けること/
形見のネクタイがやっと様になった/家族という巡り巡る大きな環

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2025年12月6日

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