「これは空耳ではない。音声と歌詞のあいだで果てしなく成長してゆく「音声詞」。胸躍る冒険の書。」………細馬宏通(早稲田大学文学学術院教授)
YOASOBI、米津玄師、ADO、NewJeans……新時代のポップスがもっと楽しめる、「耳寄りな学問」にようこそ! オノマトペ、音象徴、ポケモン言語学など、最新の学術研究もふまえ、人気アーティストたちによる魔法のような「作詞術」をめぐり論考してゆく。言語学+音声学+認知心理学+脳科学=「音声詞学」の入門書。
宇多田ヒカルや椎名林檎をはじめ、きゃりーぱみゅぱみゅ、King Gnu、KOHH、藤井風まで、その歌詞のサブリミナルな魅力も譜例とともに分析。
あのうたはなぜヤバいのか? きいてみればたしかにわかる、「音響論的転回」のすすめ。
巻末付録として、歌詞の取扱説明書・文献一覧・索引。譜面、図版、YouTube再生できるQRコードも多数収録。
[目次]
序章 音の織物
火星の音楽学者──言葉の響き
第一章 歌詞の響き
歌と歌以外の情報──言葉の意味/たくさんの「ん」とひとつの「ん」──発音と音素/歌詞の一卵性双生児──モーラと音節/アクセントとモーラという神話──赤とんぼからKOHHへ/失われた母音を求めて──無声化と音声詞/母音と子音の狭間で──ソノリティ・スコア
第二章 音象徴
可愛い音響兵器──PONPONPONの分析/音象徴と忙しい言語学者──プラトンとZeebra/結局、私は共感覚者なんですか? ──クロスモーダルな五感/錬金術──言語の音楽性と音楽の言語性/でも、意味のほうが大事ですよね?──詩的言語と流動的意図性
第三章 音響サブリミナル
無声閉鎖音が示すもの/風の音象徴──King Gnuと森山良子の摩擦音/音素の対立──宇多田ヒカルから/愛してるの響き──共感覚的なメタファー/ペンタトニックとブルーノートの言語──藤井風のまつり/音響サブリミナル──革命と摂食障害
第四章 音声詞とコンダライズ
音声詞(一)──意味からの脱出/音声詞(二)──体系化された音象徴、オノマトペ/音声詞(三)──交感的な歌とナンセンス/音声詞(四)──言語以下の歌/歌詞のコンダラ化──そして音声詞学となる
歌詞の取扱説明書/あとがき
索引/註記/参考文献
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