ナターシャの踊り:ロシア文化史 / オーランドー・ファイジズ
ナターシャの踊り:ロシア文化史
  • 著者:オーランドー・ファイジズ
  • 翻訳:鳥山 祐介,巽 由樹子, 中野 幸男
  • 出版社:白水社
  • 装丁:単行本(468ページ)
  • 発売日:2021-07-31
  • ISBN-10:4560098395
  • ISBN-13:978-4560098394
内容紹介:
ロシア文化を主人公とした一大叙事詩「ロシアは頭ではわからない」――「ロシア」をめぐるイメージ=神話の典型のひとつだ。本書では、そうした「ロシア」という「神話」が生み出してきた豊饒た… もっと読む
ロシア文化を主人公とした一大叙事詩

「ロシアは頭ではわからない」――「ロシア」をめぐるイメージ=神話の典型のひとつだ。本書では、そうした「ロシア」という「神話」が生み出してきた豊饒たるロシア文化の歴史が、国家や社会を主体とするマクロな歴史を縦糸、個人の生に関わるミクロな歴史を横糸として織りなされる。文学、音楽、美術、演劇、バレエといった大文字の文化のみならず、宮廷の様子や農村の習慣、食や入浴文化、フォークロアまで、ロシア史のさまざまな局面における日常生活を垣間見られるのも本書の魅力だ。
本書が射程に入れるのは、1703年のピョートル大帝による新都建設から、1962年のストラヴィンスキーの亡命先からの一時帰還という250年を超える時間であり、さらに亡命ロシア人社会にもその筆は及んでいるため、膨大な時空間にわたる「ロシア文化」を読者は旅することになる。「ロシア文化」において「ロシア」という「神話」がいかに大きな問題として底流にあったのか、また逆に「ロシア」という「神話」を支えるのにいかに「文化」が重要な役割を担ったのかを、本書で描かれる人物たちを追体験しながら感得することになるだろう。

[目次]
序章
第一章 ヨーロピアン・ロシア
1 帝都サンクトペテルブルクの誕生
2 シェレメーチェフ家の栄華
3 農奴劇場の歌姫プラスコーヴィヤ
4 ヨーロッパ的生活と演劇性
5 フランス崇拝とフランス語
6 ヨーロッパを旅するロシア人
7 「人間」から「ロシア人」へ
第二章 一八一二年の申し子たち
1 対ナポレオン戦争と国民統合の夢
2 デカブリストの蜂起と流刑
3 シベリアの「農民公爵」
4 文学、芸術における「ロシア性=民衆性」の発見
5 子ども時代、ばあやの思い出
6 ロシアの歴史をめぐって
7 セルゲイ・ヴォルコンスキーの晩年
第三章 モスクワへ!モスクワへ!
1 「大きな村」
2 ロシア文学のなかのペテルブルク神話
3 美食と歓待の町
4 《展覧会の絵》とモスクワ様式
5 歴史絵巻の舞台
6 商人に育まれたモスクワ文化
7 鉄道王マーモントフとアブラムツェヴォの芸術村
8 チェーホフのモスクワ
9 ソヴィエトの帝都として
第四章農民の婚礼
1 「民衆のなかへ!」
2 スターソフと三人の芸術家
3 トルストイと農民
4 キティとリョーヴィンの結婚
5 農村をめぐる理想と現実
6 バレエ・リュスと「ロシア性」の輸出
7 ストラヴィンスキーの《結婚【レ・ノース】》
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