「近代になると、死のとりあげ方やその儀式には一見連続性があるようでも、死は問題とされるようになり、一番なじみ深い物事の世界から、ひそかに離れていきました。想像界では、死はエロティシズムと結びつき、日常の秩序からの断絶を表わすようになりました」
『〈子供〉の誕生』では、〈小さな大人〉から〈子供〉への家族の感情・心性の歴史を、そして、『死を前にした人間』では、数多くの図像、文学作品、墓碑銘、遺言書をもとに、〈飼いならされた死〉から〈汝の死〉への感情・心性の歴史を描いた、歴史家アリエスによる講演・論文集。大著『死を前にした人間』を凝縮した内容の講演「死を前にしての態度」や、歴史家の方法論にも触れた「ホイジンガと死骸趣味の主題」「集合的無意識と明確な観念」などの論文を収めている。死生観が揺らぎ続けている現代に、本書から歴史に学び、俯瞰する視点を読み取ることができるであろう。
【目次】
序――終ることのない書物の物語
I 死を前にしての態度
飼いならされた死
己の死
汝の死
タブー視される死
結論
II 研究の道程 1966-1975
中世における死を前にしての富と貧困
ホイジンガと死骸趣味の主題
モーラスの『楽園への道』における死の主題
死者の奇跡
遺言書と墓に見られる近代的な家族感情について
現代における死者礼拝に関する試論
今日のフランス人における生と死
倒錯した死の観念。西欧社会における死を前にしての態度の変化
患者と家族と医者
『死期』
『瀕死の患者』
集合的無意識と明確な観念
訳者あとがき
原注
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