金子 光晴『金子光晴詩集』(思潮社)
辻井 喬
異色の散文詩集『老薔薇園』を中心に、反骨の詩人・金子光晴の詩業を一望する。
無一文で中国、東南アジア、ヨーロッパを放浪し、冷徹な目で日本を見つめ続けた金子光晴。代表作ともいえる詩「鮫」を発表後、軍国主義など日本の社会体制を批判する抵抗詩を書き継いだが、それらはお仕着せの思想信条などではなく、家族や近しい仲間を思う、ひりひりするような皮膚感覚から紡ぎ出されたものだった。
初期のきらびやかな耽美詩から、人間への愛情と絶望がない交ぜになった晩年の作品まで、生涯天邪鬼を通した金子光晴の詩業を一望する80篇を収録。
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