コラム

池内 紀「2018 この3冊」|小堀鷗一郎『死を生きた人びと』(みすず書房)、B・ポムゼルほか『ゲッベルスと私』(紀伊國屋書店)、ドリアン助川『線量計と奥の細道』(幻戯書房)

  • 2018/12/23

2018 この3冊

(1)『死を生きた人びと』小堀鷗一郎著(みすず書房)

(2)『ゲッベルスと私 ナチ宣伝相秘書の独白』B・ポムゼルほか著、森内薫ほか訳(紀伊國屋書店)

(3)『線量計と奥の細道』ドリアン助川著(幻戯書房)


(1)百年寿命がいわれる社会にあって、いかにして死ぬかは大問題だ。訪問診療医が、死をみとった人々から42の事例を語っている。人生の最後を自分の責任でどう生きたか。それがどう死ぬかを導いてくる。不安な未知への旅立ちを、やさしく、とともに厳しく見守り、明晰(めいせき)に書きつづった。

(2)ゲッベルスはナチス・ドイツの宣伝相として国民の煽動(せんどう)に力を振るった。最期の三年間、秘書をつとめた女性が回想として証言した驚くべき記録。問う方も答える方も高齢を免罪符としなかった。個人主義の強靭(きょうじん)さを思い知らされた。

(3)東日本大震災後、時の経過のなかで忘却が起きた。復興、除染、帰還が声高にいわれ、「美しい日本」の甦(よみがえ)りがうたわれ、いきつくところがオリンピックという「仮想繁栄」。お守りにした線量計が容赦なく公的ウソを暴いていく。

死を生きた人びと / 小堀 鷗一郎
死を生きた人びと
  • 著者:小堀 鷗一郎
  • 出版社:みすず書房
  • 装丁:単行本(216ページ)
  • 発売日:2018-05-02
  • ISBN:4622086905
内容紹介:
355人の看取りに関わった往診医が語るさまざまな死の記録。延命のみに長けた現代社会で、患者たちが望み、模索し続けた最期とは。

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ゲッベルスと私──ナチ宣伝相秘書の独白 / ブルンヒルデ・ポムゼル,トーレ・D. ハンゼン
ゲッベルスと私──ナチ宣伝相秘書の独白
  • 著者:ブルンヒルデ・ポムゼル,トーレ・D. ハンゼン
  • 翻訳:森内 薫、赤坂 桃子
  • 監修:石田勇治
  • 出版社:紀伊國屋書店
  • 装丁:単行本(272ページ)
  • 発売日:2018-06-21
  • ISBN:4314011602
内容紹介:
ヒトラーの右腕としてナチ体制を牽引した宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスの103歳の元秘書が、69年の時をへて当時を回想する。

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線量計と奥の細道 / ドリアン助川
線量計と奥の細道
  • 著者:ドリアン助川
  • 出版社:幻戯書房
  • 装丁:単行本(333ページ)
  • 発売日:2018-06-29
  • ISBN:4864881510
内容紹介:
3・11後の日本がどうなっているのか、目と耳と足で確かめた路上の記録。芭蕉の背を追って、逡巡しつつ、生きる、を考えるエッセイ。

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2018年12月9日

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