『「未熟さ」の系譜』(新潮社)
張 競
完成された技芸や官能的な魅力より、成長途上ゆえの可愛らしさやアマチュア性こそが心を打ち、応援され、愛好される、これら日本独特のエンターテインメントの鍵は「未熟さ」にあった。そしてそれは、近代家族と大衆メディアの結びつきが生んだ「お茶の間の願望」の帰結だった――。
明治以降に誕生した「子どもを中心とする近代家族」が「お茶の間」という独特な消費空間を生成し、「未熟さ」を愛でる文化を育んでいく過程を、丹念なメディア史研究によって鮮やかに描き出す。
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