海音寺潮五郎『赤穂義士』(講談社)、渡辺保『忠臣蔵』(講談社)、丸谷才一『忠臣蔵とは何か』(講談社)など
紀田 順一郎
朝日文左衛門、芝居を好み、詩文に傾倒し、博奕と酒色に耽溺し、ヒステリックな二人の妻に悩まされ、武芸十八般にあこがれ片っ端から入門するがどれもモノにならず、気力体力ともになく終生ヒョボクレ。 尾張方言でいうその気の弱い”兵法暗れ”文左衛門が、暮夜ひそかに天神机を引き寄せ筆を走らせつづけて二十六年八ヶ月、三十七冊、およそ二百万字。 稀有としかいいようのないこの膨大な日記「鸚鵡籠中記」を通して、文左衛門の生涯を追いながら、元禄の名古屋城下に生きた下級武士や庶民男女の表情を、体臭を、哀歓を泛びあがらせたいとまとめたのが、本書である。(本新書「あとがき」より)
筆マメにまかせて、下級藩士の婚礼の食卓メニュー、公用出張で味わった京大阪の料亭の美味、名古屋城下街々のファーストフードに至るまで、元禄の食についても書き散らしているので、食書としても貴重で楽しめます。
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