『依存症と人類――われわれはアルコール・薬物と共存できるのか』(みすず書房)
斎藤 環
アルコール依存症から回復した精神科医が本書に描くのは、依存症の歴史であり、その概念の歴史である。自身や患者の体験、過去の有名無名の人々のエピソードに加え、医学や科学のみならず、文学、宗教、哲学にまで踏み込んだ豊饒な歴史叙述によって、依存性薬物と人類の宿命的な繋がりが浮かび上がってくる。
依存症は「病気」なのか? それとも、差別や疎外に苦しむ者に刻印されたスティグマなのか――? 圧倒的な筆力で依存症をめぐるさまざまな神話を解体し、挫折と失敗に彩られた人類の依存症対策史をも詳らかにする。
「本書は、米国のみならず、国際的な薬物政策に大きな影響を及ぼす一冊となりうる力を備えている。その意味で、依存症の治療・支援はもとより、政策の企画・立案、さらには啓発や報道にかかわる者すべてにとっての必読書であると断言したい」(松本俊彦「解題」より)
目次
イントロダクション
著者はしがき
第I部 名前を探して
第1章 出発点――「依存症」以前
第2章 エピデミック
第3章 意志の病い
第II部 不節制の時代
第4章 憑依
第5章 アメリカ初のオピオイド・エピデミック
第6章 ジャンキー
第III部 現代の依存症のルーツ
第7章 近代アルコホリズム運動
第8章 よい薬物、悪い薬物
第IV部 試される依存症
第9章 リハビリテーション
第10章 ゼロ・トレランス
第11章 依存症を理解する
結論 回復
謝辞
解題 (松本俊彦)
原註
図版クレジット一覧
索引
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