【イベントレポート】プルーストの姪と面談した吉川先生~吉川一義 × 鹿島 茂、吉川一義『『失われた時を求めて』への招待』(岩波書店)を読む~
プルーストの草稿を研究されていた吉川先生、鹿島先生の質問に誠実に回答し、予定時間を大幅に超過しました。充実の対談はアーカイブ視聴が可能です。
※対談は2021年9月23日に行われました。
※対談はアーカイブ視聴が可能です。

プルーストの姪と面談した吉川先生~吉川一義 × 鹿島 茂、吉川一義『『失われた時を求めて』への招待』(岩波書店)を読む~
吉川先生はプルーストの草稿の研究で知られています。プルーストの草稿がフランスの国立図書館に寄贈されたのが1962年、吉川先生がフランスに留学されたのが1973年。吉川先生が留学された頃はまだ草稿が整理されておらず、研究のし甲斐があったそう。吉川先生は、なんと、プルーストの姪のシュジ―・マント=プルーストと何回か話されたそうです。マント=プルーストは「研究者は間違いまで「ママ」と入れて印刷する。研究者は直してくれればよいのに」と研究者の態度にご立腹だったそうです。このマント夫人、ご主人は『シラノ・ド・ベルジュラック』の作者エドモン・ロスタンの血縁に当たる方。娘はモーリアックの子息に嫁いでいます。なんかすごい家系です。それにしても1922年に亡くなったプルーストが、意外と時代が近い人であることがわかるエピソードです。
「嘘」が根底にある小説
吉川先生は『失われた時を求めて』の魅力は一人称小説。この「私」はマザコンで、嫉妬深く、その割に恋人を捨てるという「ダメ人間」。これは、ゲーテやロマン=ロランの主人公が立派な人間に成長していく教養小説への批判ではないかと吉川先生は説明します。そのようなダメ人間、情けない人間であっても、その精神のありようは立派な人間とも通じるところがあるというのが、『失われた時を求めて』の魅力ではといいます。また、同時代のジッドと比較すると、ジッドは主人公は嘘をつかないという小説、プルーストは私をはじめ登場人物が全員嘘をつき、嘘こそ自分を守るための手段という小説。ジッドとプルーストの対話や対立について詳しくはお二人の対談を参照ください。
GALLICAすごい!
最後に、吉川先生、鹿島先生が賞賛していたのが、フランス国立図書館の「GALLICA」。フランスの国立図書館BnFが提供するオンライン図書館です。もちろん日本からでも検索可能。プルーストの直筆原稿を読むこともできます。プルーストが生前プレスでどのように扱われてきたかについてのGALLICAのブログを以下に紹介します。https://gallica.bnf.fr/blog/05022018/marcel-proust-dans-la-presse-les-debuts-1890-1900
このGALLICA、インスタグラムもやっています。イラストの紹介などもやっているので、フランス語がわからなくても、フランス文学の好きな方は一度覗いてみてはいかがでしょうか?
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対談は、プルーストの同性愛観やユダヤ人問題、サド・マゾ問題についても話題としていきます。2時間の対談でこれだけの情報量があるのかという、すごい対談ですので、ぜひご視聴ください。
https://peatix.com/event/3015146/view
























