1956年、私たちは「こどものとも」を世に送り出しました。毎号一つの物語に一人の画家が全場面をとおして絵をつける、ペーパーバック版の月刊物語絵本です。私たちは、何よりも絵本は「子どもに読ませる本ではなく、大人が読んであげる本」だと考えました。「大人がくりかえし読んであげることで、はじめて子どもたちは絵本の世界をたっぷりと楽しむことができ、心を豊かに育てることができる」と考えたからです。

そのために一番ふさわしい絵本は、当代一流の著者・画家が子どもたちのために全力を注いでつくる「大人も子どももいっしょに感動できるすぐれた絵本」です。この考え方は、ずっと一貫した私たちの基本姿勢となっています。

以来60年あまりの間に、今もたくさんの子どもたちに親しまれている『ぐりとぐら』『はじめてのおつかい』などの創作絵本や、『いやいやえん』『魔女の宅急便』といった創作童話を刊行し、さらに『ピーターラビットの絵本』や『エルマーのぼうけん』など海外の秀作も日本に紹介してきました。近ごろでは、「私の好きだった絵本を、こんどは子どもに読んでいます」というお便りもたくさんいただいています。子どもたちの心の中に末永く生き続けていくような絵本や読み物を、これからも変わらずにお届けしたい、私たちはそう思っています。


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