『時評書評: 忖度なしのブックガイド』(教育評論社)

豊崎 由美
紙の媒体に書評を寄稿するだけだったわたしが、ウェブニュースメディアの「QJ Web(クイック・ジャパンウェブ)」で月1回の連載を持ったのは2020年…
後書き
「週刊新潮」「中日新聞」「DIME」などで書評を連載。著書は『そんなに読んで、どうするの?』『どれだけ読めば、気がすむの?』(以上アスペクト)、『文学賞メッタ斬り』『百年の誤読』(以上、共著、ちくま文庫)、『勝てる読書』(河出書房新書)、『読まずに小説書けますか』(共著、メディアファクトリー)、『石原慎太郎を読んでみた』(共著、原書房)など多数。近著に『「騎士団長殺し」メッタ斬り!』(河出書房新社)がある。
紙の媒体に書評を寄稿するだけだったわたしが、ウェブニュースメディアの「QJ Web(クイック・ジャパンウェブ)」で月1回の連載を持ったのは2020年…
凄い本読んじゃった。キアラン・カーソンの『琥珀捕り』。A~Zまでを頭文字にとったタイトルからなる全二十六章で構成されていて、その中身はといえ…
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ここには、盲目の老貝類学者がいる。死にゆくものの魂が最後に思い浮かべる光景を感受できる女性がいる。フライ・フィッシングを通じて成長する十四…
帯には〈孤独な魂がふれあったとき、切なさが生まれた。その哀しみはやがて、かけがえのない光となる。〉とあるけれど、そんな美しい文言で言い尽く…
わたしは哀しい。まさに、“売文商”の哀しみ。というのも、新人のものとは思えぬ傑作として、本国イギリスのみならず国際的にも高い評価を受けたゼイ…