『トランス=アトランティック』(国書刊行会)

豊崎 由美
物真似がうまい、やたらやかましいタレントがいるじゃないですか。柳沢慎吾。たとえば、あの人になってみるわけです。柳沢慎吾の落ち着きのない目で…
書評
「GINZA」「週刊新潮」「TV Bros.」などで書評を多数連載。著書は『そんなに読んで、どうするの?』『どれだけ読めば、気がすむの?』(以上アスペクト)、『文学賞メッタ斬り』『百年の誤読』(以上、共著、ちくま文庫)、『勝てる読書』(河出書房新書)、『読まずに小説書けますか』(共著、メディアファクトリー)、『石原慎太郎を読んでみた』(共著、原書房)など多数。近著に『「騎士団長殺し」メッタ斬り!』(河出書房新社)がある。
物真似がうまい、やたらやかましいタレントがいるじゃないですか。柳沢慎吾。たとえば、あの人になってみるわけです。柳沢慎吾の落ち着きのない目で…
詩は一体、どこで、何をしているのか。たとえば、道行く人に「あなたが今日見かけた詩は一体、どこで、何をしていましたか?」と訊ねてみる。……無理…
人間は時代の産物である。「いまどきの若モンは……」的発言はいつの世も絶えないけれど、感受性が強く自我が固まりきっていない若モンだからこそ、“い…
最近の岩波はえらい。中国のガルシア=マルケスとの呼び声も高い莫言の大々々々々傑作『酒国』(未読の方、走れ本屋へ!)を訳してくれたうえ、有名作…
この小説の魅力を伝えるのは、ひどく難しい。ストーリー自体がこみいっているわけでもないし、難解な思想が語られているわけでもない。むしろその逆…
「二十世紀は、SFの世紀だった。それは、SF的未来観によって巨大な科学技術文明を築くとともに、SF的想像力の浸透によって超微細な高度電脳文化を自…