1961年生まれ。ライター、ブックレビュアー。「週刊新潮」「中日新聞」「DIME」などで書評を連載。著書は『そんなに読んで、どうするの?』『どれだけ読めば、気がすむの?』(以上アスペクト)、『文学賞メッタ斬り』『百年の誤読』(以上、共著、ちくま文庫)、『勝てる読書』(河出書房新書)、『読まずに小説書けます…もっと読む
- 『千尋の闇〈上〉』(東京創元社)豊崎 由美
今年のオモシロ本ベストスリーに入ること必定の傑作『抱擁』(新潮社)の作者A・S・バイアットがこんなことを書いている。「芸術は、政治のため、教…
書評 - 『奇術師』(早川書房)豊崎 由美
やっと……。クリストファー・プリーストの『奇術師』が書店に並んでいるのを見て、安堵の溜め息をついた意味は、『魔法』を読んだ方ならご理解いただ…
書評 - 『ミドルセックス』(早川書房)豊崎 由美
今からちょうど十年前だったのだ、『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』(ハヤカワepi文庫)というジェフリー・ユージェニデスのデビュー作が日本…
書評 - 『告白』(中央公論新社)豊崎 由美
ぼっふぉん! わたくしの頭が破裂した音だと思ってくださいまし。町田康の『告白』を読んで狂喜したオデのちっちゃな脳味噌が、さらなる細分化を遂げ…
書評 - 『天使の記憶』(新潮社)豊崎 由美
若手天才フルート奏者ラファエルのもとに現れた、メイド志望のドイツ娘サフィー。二人はほどなく結婚するものの、息子が生まれてもなおサフィーはラ…
書評 - 『驚異の発明家の形見函〈上〉』(東京創元社)豊崎 由美
「競売番号六十七番、骨董品の函。四十五センチ×六十三センチ。起源不詳。十九世紀」一九八三年、パリのオークションで「わたし」は奇妙な骨董品と…
書評 - 『鎮魂歌』(早川書房)豊崎 由美
誰でも、一生に一回くらい確信しちゃったりするわけよ。「この人が運命の男(女)だ」とか、「この愛は永遠なの」とかさ。ところが大抵の場合、無惨…
書評 - 『タイドランド』(角川書店)豊崎 由美
もう六年も前のこと(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2004年)。CSのブックレビュー番組で、わたくしはその月のイチオシ作品として、ジャック・…
書評 - 『ララバイ』(早川書房)豊崎 由美
乳幼児突然死症候群の取材をしていた新聞記者のストリーターは、死亡した赤ん坊の親たちが全員『世界の詩と歌』という本を図書館から借りていたとい…
書評 - 『リッチ&ライト』(みすず書房)豊崎 由美
語り手は、三十代最後の夏の休暇をスペインで過ごすことに決めたリュシー。マラガ、エステポナ、セビーリャなどのアンダルシア地方を回り、その後、…
書評 - 『夜の記憶』(文藝春秋)豊崎 由美
両親を事故で一度に亡くし、四つ年上の姉と農場で二人きりの生活をしている十三歳の少年。ある夏の夜、侵入してきた変質者が少年の目の前で姉を陵辱…
書評 - 『文明の子』(幻冬舎)豊崎 由美
ある作品を酷評した場合、できるだけその後も追いかける。そして、もし当方比的に「酷評した作品よりも良い」と思えた時には、そのことをちゃんと書…
書評 - 『行方不明のヘンテコな伯父さんからボクがもらった手紙』(国書刊行会)豊崎 由美
平凡で退屈な人生から逃れて探検家になった伯父さんが、白いライオンを追い求めて北極へ行き、奇想天外な冒険の末に、とうとうお目当ての幻の獣と出…
書評 - 『幽霊船』(国書刊行会)豊崎 由美
ある朝、行き倒れて、雪に埋まって寝ていた浮浪者が目覚め、「死ななかったのが不思議なくらいだ」とその幸運を喜ぶ。しかし、旅の道連れとなった少…
書評 - 『ジャイアンツ・ハウス』(新潮社)豊崎 由美
五十年代、アメリカはケープ・コッドの田舎町の図書館で、二十五歳の孤独な女性司書ペギーと、十四歳年下の少年ジェイムズが出会う。身長がその時す…
書評 - 『いつか棺桶はやってくる』(小学館)豊崎 由美
やられたなー。本のセレクトショップを経営するかたわら、〇三年に作家デビューを果たした藤谷治の最新刊『いつか棺桶はやってくる』の33章を読んで…
書評 - 『酒国―特捜検事丁鈎児の冒険』(岩波書店)豊崎 由美
食にまつわる傑作は古今東西数多い。記憶容量の小さな我がお粗末な脳ミソから引っぱり出してくるだけでも、クレッシング『料理人』、ニコルスン『食…
書評 - 『ケルベロス第五の首』(国書刊行会)豊崎 由美
物語の舞台となっているのは、人類が植民して二百年足らずの双子惑星サント・クロアとサント・アンヌ。かつてサント・アンヌには、姿を自在に変える…
書評 - 『アムステルダム』(新潮社)豊崎 由美
とかくお涙頂戴系の作品ばかりが話題になりやすい、いかにも湿度高めなニッポンの読書界。が、しかし、皆さん。笑いなくして、何が人生かっ。新しい…
書評 - 『魔の聖堂』(新潮社)豊崎 由美
中世詩の贋作(フェイク)作家として知られている夭折の天才詩人トマス・チャタトンが、実は五十歳を過ぎるまで生き続けていて、同時代の有名詩人の…
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