1961年生まれ。ライター、ブックレビュアー。「週刊新潮」「中日新聞」「DIME」などで書評を連載。著書は『そんなに読んで、どうするの?』『どれだけ読めば、気がすむの?』(以上アスペクト)、『文学賞メッタ斬り』『百年の誤読』(以上、共著、ちくま文庫)、『勝てる読書』(河出書房新書)、『読まずに小説書けます…もっと読む
- 『メイの天使』(東京創元社)豊崎 由美
大人になると、入学式もなければクラス替えもなく、ドキドキするような出会いの場なんて、合コンくらいになってしまう。そんな誂(あつら)えものめ…
書評 - 『サロン・ドット・コム 現代英語作家ガイド』(研究社)豊崎 由美
ヴァージニア・ウルフがあるエッセイの中で、書評家なんてガター(要約を抜き取り)&スタンプ(評価を印でつける)だけやっていればいい、というよ…
書評 - 『レターズ〈1〉』(国書刊行会)豊崎 由美
二〇〇〇年の翻訳小説の収穫といえば、当然ながらリチャード・パワーズの『舞踏会へ向かう三人の農夫』(みすず書房)がその一冊に挙げられると思う…
書評 - 『白檀の刑〈上〉』(中央公論新社)豊崎 由美
物語の舞台は作者の故郷・山東省高密県。一九〇〇年、山東省の膠州湾一帯を清朝から無理やり租借したドイツが膠済鉄道の敷設に着手し――という史実を…
書評 - 『星のしるし』(文藝春秋)豊崎 由美
八月から九月にかけてのメガ・ノヴェル新刊ラッシュにかまけて読めていなかったものの、気になっていた本を少しずつフォローしている日々ですの。で…
書評 - 『老人ホーム 一夜の出来事』(東京創元社)豊崎 由美
へえ~え、こんなにユニークな作家がいたんだ! その名もB・S・ジョンソン。海外文学は翻訳を通じてしか読めないという方の大半にとっては、名前すら…
書評 - 『小さいおうち』(文藝春秋)豊崎 由美
遅れて生まれてきた者にとって、歴史は常に大文字です。しかも、なんか、こう、太ゴシック体でごついイメージの。「一九三六年 二・二六事件」「一九…
書評 - 『食糧棚』(白水社)豊崎 由美
幼い頃「ごんぎつねは三度の飯よりいたずらが好きだそうですが、わたしは三度の飯より四度の飯が好きです」という噴飯ものの感想文を書いたくらいで…
書評 - 『残光』(新潮社)豊崎 由美
私は保坂さんのいうことは信じるに足る、といつも思うくせがついている。不思議なことに一つを除いてそうなのだ。その一つとは、私が日本で信じるに…
書評 - 『マーティン・ドレスラーの夢』(白水社)豊崎 由美
物語の舞台は十九世紀末から二十世紀初めのニューヨーク。主人公は父親が経営している葉巻タバコ商店の手伝いをしながら、並外れた商才を発揮する少…
書評 - 『私たちがやったこと』(マガジンハウス)豊崎 由美
『体の贈り物』。レベッカ・ブラウンは、この一冊の短篇集によって、日本の読者に広く知られるようになった作家だ。エイズ患者の身の回りの世話をす…
書評 - 『ジョン・ランプリエールの辞書』(東京創元社)豊崎 由美
一八世紀、イギリス自治領チャンネル諸島のひとつジャージー島。学究の徒ジョン・ランプリエールは子爵家の美少女に恋い焦がれているのだが、ある日…
読書日記 - 『パイの物語』(竹書房)豊崎 由美
皆さん、これ、児童書じゃありませんから。あと、お菓子の話でもありませんから。パイはπ、主人公の十六歳の少年ピシン・モントール・パテルの愛称な…
書評 - 『ことばのたくらみ―実作集』(岩波書店)豊崎 由美
イタロ・カルヴィーノ『カルヴィーノの文学講義』(朝日新聞社)の中にこんな言葉がある。ときとして私には、何かしら疫病のようなものが、人類をも…
書評 - 『灰色の魂』(みすず書房)豊崎 由美
以前、某ミステリー評論家にこんなことを言われたことがあります。「お前はさあ、文章がまずいだの、文体意識が低すぎるだの、何だかんだ細かいこと…
書評 - 『彼方なる歌に耳を澄ませよ』(新潮社)豊崎 由美
スコットランド高地からの移民が多く住むカナダ東端の島ケープ・ブレトンで育った、一九三六年生まれの作家アリステア・マクラウドの小説を読むと、…
書評 - 『アバラット』(ソニーマガジンズ)豊崎 由美
『指輪物語』で有名なトールキンはファンタジーの三つの機能として、勇気ある〈逃避〉、慣習によって曇ってしまった目を浄化する〈回復〉、幸福な結…
書評 - 『寝ても覚めても: 増補新版』(河出書房新社)豊崎 由美
一九九九年四月、大阪。就職したばかりの朝子(語り手〈わたし〉)は、一日に二度偶然出会った青年に一目惚れをする。〈好みとかそんなんじゃなくて…
書評 - 『僕はマゼランと旅した』(白水社)豊崎 由美
いろんな声の持ち主がいる。一心に耳をすまさないと聞こえないくらい小さな声。陽気で明るいはっきりした声。耳障りなのに、どこか心惹かれるだみ声…
書評 - 『時評書評: 忖度なしのブックガイド』(教育評論社)豊崎 由美
紙の媒体に書評を寄稿するだけだったわたしが、ウェブニュースメディアの「QJ Web(クイック・ジャパンウェブ)」で月1回の連載を持ったのは2020年…
後書き